きょうおもうこと

昨日は、午後に研究室で、花束を頂いた。やはり嬉しいものです。その後、お茶とケーキで和やかにおしゃべりをした。わたくしとしては、昨日も今日も同じような日々でありたいのだが、やはりこのようなセレモニーを持つのも楽しいし、研究室のみなさんにも意義があるのだろう。

今日は昼過ぎ研究科長から、辞令をいただいた。
二通あって、一通は研究科長からの通知書で、現職研究員とあり、異動内容として、生命科学研究科教授(特任)の称を付与しますとある。この称は上手に使えば価値があるわけ。名刺には入れる気はないが、グラントの申請にたいへん役立つ。
もう一通は使用者職としての学長からでこれには労働条件通知書とある。契約期間、職種、業務内容とあり、ここには有期雇用教職員、研究員(学術支援)とある。ふーん、支援研究員かと思った。始業は8時半、就業は17時半、休憩12時から13時まで1時間とある。後いろいろ書いてあり、休暇も取れる。裁量労働制が無くなるので、これからは朝8時半に来るのかな?と思わずつぶやく。あと、有期雇用というところで、茶々を入れたかったがこらえた。受領サインをして、これでこれから一年間頑張りましょうと、心から思った。

わたくしのようなケースは、K大としてはまだまだ珍しい出来事。つまり、名誉教授はどんなかたちであれ、キャンパスには残れないという不文律が長年あった。数年前にわたくしが研究科長であったときに、その様なことを変えるべきだと、本部の人事の上級職員と話したときに、彼は事務職員であるのに(だからというべきか)、言下のもとに「先生それは絶対いけません。かならず院政になりますよ」と言われた。教授会で話題にしても、若い教授の多くからは、やはり「院政」への危惧が強く出た。
K大は、たしかにそういうことを考えたくなるような歴史が長年あった町に存在するのでしかたないかもしれない。
わたくしとしても、そういう気がなくても、どう勘ぐられるかしれないので、もといた研究科の教授の人とはこんご私的には極力会わないのがいいのだろうと思った。お茶を飲んでいるのを目撃されても、何を言われるか、分からない。相手のかたに気の毒になる。幸いわたくしのいる、この建物には同じ研究科の教授は一人もいないのでトイレや廊下で会うこともないし、教授会にも出ないのだし、その点安全でしょう。
ただ、わたくしはK大でたしかに研究室を経営してるのだが、同僚という人間はどこにもいないことは確かだ。そういう点で、誇張だが、天涯孤独のような不思議な感覚。
これからは、創造性の高い研究を試みるのが、それは研究科の興隆の為ではなく、たぶん世界の生命科学の為にやるのだと、心から思う。そういう気持ちなら、よもやわたくしが院政に興味があるなどというかつての同僚はいないだろう。
新入学生を受け入れることもできないのだから、よほどの創意工夫が研究室運営に必要。しかし、わたくしは今まで逆境にはとことん強いという自負があるので、むしろこの様な環境をバネにしたい。日本か世界のどこからでもやる気のある元気な若者をスカウトしよう。そのためには研究費がどうしても必要、やる気が高揚してくる。

わたくしの今後は、研究能力だけでの評価で生きていきたい。他にもあるかもしれない能力は、夾雑物としてみなされたほうがほんとにありがたい。
研究能力の評価が墜ちたときにはいさぎよく、現場を去りましょう。

夢想だが、これからは野に放たれた狼のような生き方をしてみたい。

しかし、「狼」になるには、体型もまったく不似合いだし敏捷性はゼロだ。しがらみ、係累も多すぎて、狼などになれるはずがない。それに年も取りすぎた。だから、バーチャルな気持ちだけでも、一匹狼だった昔の時代に戻りたい。

興味のない世界には近寄らないようにしよう。好きなものには好きといって近寄り、嫌いなものは嫌いと宣言し近寄らないようにしよう。良いものは良いと、よろしくないと思うものにはよろしくない、そうはっきり言いましょう。
心の自由のために。

研究のできる時間がまだあることに、深く感謝しつつ。

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