きょうは、ICさんのセミナーがあった。研究室に朝10時から来てもらい、ラボの何人かの研究を聞いてもらう。わたくしは参加しない。どうしても口を出してしまうし、それに現場の人間のしゃべりが湿ってしまうので。こういう若くて生きのいいポスドクに来てもらうのはとても良い効果が持続的に出るのです。年も近いし、これから長い期間にわたって顔見知りになるからである。人間関係の先行投資くらい価値あるものはないのです。セミナーでは質問もたくさんでたし、話しもとてもおもしろかった。夜は院生主催でGに。わたくしも一部参加する。
話題を変えたいのですが、もう一回、このポスドク問題に触れます。
予算的には、「人」か「機械」かというような類の議論が官庁周辺ではよく行われます。
機械は文句を言わないし、時期が来て役に立たなくなったら廃棄すればいい、だから4千万や5千万円の機器でも役に立つなら、どんどん買っていいですよ。プロジェクト研究の目的にはぴったりだ。100台くらいそれらを並べて研究できる主宰者候補はいませんか?国のレベルで重点化された生命科学の施策の候補を決めるときに話題になったことがなんどもあるはずです。
わたくしはそれに対して、新技術を否定するつもりはまったくありませんが、日本の生命科学の重点化施策には「人材の養成」、これを重点化してほしい、と声を大にしていろんなところで言ってきました。ともあれ人材養成に予算を付けてほしいと。今もそれはかわりません。5千万円の機械を一台買うのよりは、むしろ一人の有望な若い研究者に機会を与えてほしい。簡単に図式化すればそういう議論でした。
機会と機械、発音は同じでも、天と地ほど内容も結果も違います。
この数日のいろんな沢山のコメント見てると、賛否両論ですが、どうも「機械派」の官僚が勢いを増しそうで残念です。ポスドクの増加は危険だと。やはり「機会派」は少数派ですか。たしかに将来が不安なポスドク、つらいですよね。でも世界中、それはどこも同じですよ。
米国のいまの圧倒的な生命科学の強さは、分厚いポスドク層に支えられているのですがね。
わたくしの意見など、文科省にまったくなんの直接的影響はありません。あるような立場なら、ここでの意見など述べるはずもありません。誤解の無いようにお願いします。
ただ自分で言うのも何ですが、これまで国の施策について、すこし先のことを読むことは出来たような気がしました。文科省関係の官僚のかたもここのブログを見てる人がいることは聞いてます。ですから、ここに出てくるコメントもそれなりの一種の「世論調査」として読まれるかもしれません。
ポスドクの人達、あなたのような立場の人たちがこれ以上増えてほしくない、国にはポスドクを増やしてほしくない、こういう意見が多数として、政策立案者に思われてよろしいのですか?
はなしをあまりに単純化してると、怒る人がたくさんでそうですが、でも世の中に対しては、結局は単純化しなければ、理解されませんよね。
ところで、きょうでブログ101回目となりました。わたくしとしては、静かに通過点を通った感じがあります。コメントもいま合計1746とでています。トラックバックが136です。