なにか理学系のポスドクはきついとかいうトーンのコメントが多くありましたね。確かにその面も無いことは否定しませんが、理学というよりは、わたくしに言わせると科学系、サイエンス系のポスドクは、うまくやれば心底楽しめるはずです。そういう雰囲気のコメントもありましたよね。若者ですから、将来に不安を持つのはある程度当たり前です。わたくし自身もポスドク時代最高にエンジョイしました。
実際のところ、ポスドクをどんどん増やせとわたくしはいってるのでなく、予算が増大するから必然的に人員が増えてるのです。雇用条件が緩和されればますます増えるでしょう。それにどう対応するか、というのが基本的なスタンスです。もちろんポスドクは出来るのなら、やる気がある候補がいるのなら(外国人でもちろんかまわないのですが)採用すべしという意見です。
35才がリミットとかいうことですが、それはそういうものもあると言うことで、わたくしの関係してる経費ではポスドクの年齢制限はまったくありません。研究費の直接経費での雇用の場合などもそういう年齢制限は無いと思います。周辺には65歳以上のポスドク的な雇用の人もいますよ。
それから、博士の学位を取るとみなさん、大変苦労するということばかりがでてますが、多くのひとはかなりエンジョイしてるはずです。本当のところ。
この研究室の出身者で博士号をわたくしを指導者として取ったかたがたが、50人をすこし越えるくらいいました。事情があって一人だけ消息が分からないのですが、後は全員アクティブに研究、学究生活を送ってます。つらいことも当然あるでしょうが、みなさん研究に情熱を燃やしてるようですよ。かれらは20台後半から40台後半までの年齢分布ですが、うち外国生活をしてるのが約半分の24人ですね。うち自前の研究室を持ってる人が7人ですか。米国4人、英国3人ですね。まあかなり妥当な数でしょう。年齢分布を見たら。world famousな人もいますよ。残りはポスドクで、うち5.6人はそのうち外国でのラボ経営にチャレンジするはずです。残りはそのうち帰国を希望するとおもわれます。でも案外居座ってしまうかもしれません。いろいろ迷うでしょうから。
日本にいる出身者のうちおよそ10人が研究室主宰者というかそれに準じるくらいになってます。これも日本的には年齢的に妥当な数でしょう。助手とか研究員とか助教授のような定職的なものについてる人達も多いですよ。みなさん驚くでしょうが、博士をとって企業に行ったのは一人です。でもかれはすごく成功してると周辺から聞こえてきます。
なにより、このあいだの奈良での会であうとみなさん元気いっぱい、研究に意欲満々と見ました。
わたくしの研究室は例外と直ちにいわれるかもしれませんが、彼等の多くはサイエンス系ですし、50人もいるのですから、ひとつの平均的な流れともおもえます。もちろん彼等がバラ色の人生などおくってるなどと言うつもりはまったくありません。でもみなさん、何研究してるのと聞けば、即座にいまの一番の関心事をまくし立てますよ。
いまのところ来月や来年に失職するので何とかせねばならぬという緊急事態の人もいないようですし、わたくしもまなじりを決して推薦状を書かねばならぬ人達もいません。
奨学金の返済など、もちろん大変なこともあるのですが、またいつかこの件書きますが、でも前々から分かってるので、取り立てを受けたとか破産したという大変な話しはまだ聞いてません。
今日は、ご参考までにということで書きました。
後から思えば、ポスドク時代あんなに楽しく稔り豊かな時代はなかったと、いう人はわたくしだけでなく、沢山いるでしょう。ただ、だからといっって、ここで出てくるいろんなコメントが意味がないと言ってるのではありません。それどころか、大変意味があるのでしょう。ただ、ご参考までにちょっとした、わたくし周辺の情報を今日は書いてみただけです。
どなたかも書いてるように、海外に出ると、自分の優秀さにびっくりするというか、これでことばと社交性を身につければ、海外では食いっぱぐれはないと、日本人の多くの方は思うはずですよ。でも食いっぱぐれがない状態から、ラボ持って独立となるといっぺんに大変になる、これが海外生活なのでしょう。日本では、しがみつき精神を持って、その筋系のひととなって、頑張ってるといつのまにかラボ経営者になってしまうのが体質なのでしょう。