がんと染色体異常

けさあたらしいN誌を見ると、二つの論文が染色体異常が癌を引き起こすという考えをサポートしていました。著者の二人ともボストンのハーバード医科大学の研究者で、信頼できる若手研究者です。詳しい論文の内容を読んではないのですが、やはりp53という癌抑制遺伝子をノックアウトした実験系で染色体を四倍体(正常は二倍体)にしてから細胞のがん化を調べてています。新規にがん化の頻度が確実に高まることを見ているようです。だから染色体異常は癌による結果ではなくて、原因なのだと言いたいのでしょう。
染色体異常が癌の原因ではないかということは多くの研究者がいままで主張してきているのですが,なかなか決着がついていません。
原因か結果か、生物学では常に問題となり論争となるポイントです。
実験研究で、いかにして原因なのか単なる二次的な帰結なのか証明するために知恵を絞るものです。
異常な細胞増殖を繰り返せば染色体異常は起きるだろうから、染色体異常をどんなにしらべてもがん化は理解できないという、反論に対して、今回の論文がどこまで応えているか、あとで良く見てみようと思いました。染色体が一部多いとか少ない異数体でなく染色体数が倍増した四倍体の系で実験をしてるのが面白そうです。

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