細胞はまだ作れない

生命科学は進歩したと喧伝されてますが、それほどでもありません。
細胞を人工的に作ることができないのです。
簡単そうでいて、本当は非常に難しいのかもしれません。あと10年もすればできるのか、それとも50年くらいかかるのか。それすら分かりません。
楽天的な研究者が、いままで何十年にもわたって、数限りなくトライしてきました。大腸菌のDNA複製も、RNA合成も、タンパク合成もみな試験管の中でおこすことが出来ます。また脂質を上手に使えば、細胞程度の大きさのいろいろな袋を作ることも容易に出来ます。でも、いまだ細胞もどきのようなものすら出来てないのです。一方で、いくつかのウイルスは試験管の中で部分品から作ることができます。でも、細胞はまだまだ出来そうな気配がありません。どうして出来ないのか、その理由が分かれば相当進歩するのでしょうが。
それでは、どんなものが出来たら細胞もどきと言えるのでしょう。やはり、大事な生きている性質を示すことでしょうね。
継続して細胞分裂して増殖する細胞もどきをDNA、RNA、タンパク質、脂質、炭水化物などの部品からつくるのはしばらくはあきらめるとして、どんな性質があったら、画期的な細胞もどきでしょうか。
一回でもいいから、分裂する細胞のような袋。その時に袋の中にある、染色体DNAも均等に分配する。一回限りでよければ、これはそのうち出来るかもしれません。
増殖分裂をまったくしないけれども、細胞らしい袋の中である種の生命活動(DNA複製のようなものもしくは呼吸のようなもの)が継続しておこる。この路線の研究はある程度の成功をおさめるかもしれません。しかし、こういうものがたとえ出来ても、本当の細胞らしいものからはまだかけ離れてるでしょう。
本当のところ、地球のうえでいかにして生命ができたのか、生命の起源の分野ですが、これはそれなりの長い歴史をもった研究分野ですが、なかなか画期的な進歩はないようです。むかし、極端なモデルとして提出されたものは、生命は隕石に付着して他の星から来たというものでした。それ以来、細胞は一度も無から生じたことはない、ずっと細胞から次なる細胞へ継承し進化してきたというものです。部分品から細胞ができたことは地球上では一度もない、という考えです。
こういう考えは、悲観的すぎるし、生気論的な細胞観であって、研究者としては誤っていて欲しいのですが、でもまったく否定することも出来ないのです。

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