きょうから、三日間沖縄に来てます。関空発の便なので早めに家を出なければなりません。それに京都でのはるかとの接続が10分弱なのと湖西線の恒常的な遅れを考慮するので、電車もひとつ前のに乗らないといけません。結局、家を8時半前に出て11時20分の便に乗ることになります。「空港まで遠いなあ」というのが実感です。お家騒動の日航は便を減らしたりしてるのか、なんだか影が薄くなってきて、大丈夫なのかなあ、ともいます。やはり伊丹便だと1時間は早く空港に着ける感じですので、今後すこしスケジュールを考えようとおもいました。
さて、河合隼雄さんの「対話する生と死」(大和文庫)とても面白かったです。再発刊ものですが、河合さんのは何を読んでも面白いのですが、これはまた格別に面白い本でした。人間何歳になっても新しいことを学べるのは楽しいことですが、そういう楽しさを満喫できます。心理分析学者の河合さんの人間を見るまなざしは、やさしく、暖かく、そして深いので、読んでるうちに河合さんの懐の中にはいっていける感じがあります。本人は聞いても喜ばないでしょうが、いまの日本での最高峰の僧侶の説話という感もありました。
いろいろな言葉がありましたが、そのなかで、日本の文化は死をきわめる文化ということも、河合さんがいうとやはりそうなのか、と思わざるを得ません。それと日本の文化は女性の文化というのも刺激的でした。
藤原正彦さんのベストセラー「国家の品格」(新潮社)との共通点はおふたりとも海外に知友がたいへん多く、年がら年中、東と西の対比のなかで日本を考え続けてる点でした。見かけは違いますが、根本を流れている思想に共通点を感じます。
この「国家の品格」は前から読んでみたかったので、空港の本屋で買ったものです。通常機内では仕事をするのですが、今日は中止してこの本を一気に読んでしまいました。中年のおじさんが読んで元気を出す効用もあるでしょうが、若い人達にぜひ読んでもらいたいと思いました。
ユーモア(ちょっと駄洒落的ですが)をちりばめて、暴論的に聞こえそうなところも用心して柔らかく書いていますが、まさにさむらい的な持論を展開したものです。ご本人は数学者で、父親は小説家の新田次郎氏で、母親は「流れる星は生きている」の藤原ていさんですので、色んな意味である家族で継承されてきたと思われる道徳観と世界観が見事にでています。
藤原さんのいうところの情緒、美に対する情緒を最高の価値に置くというのは、まったく同感でして、わたくしも何年も前から同様なことを言ったしていましたのでここに同志あり、と嬉しい気がしました。ただそういう環境が天才を生むという、ことはついぞ考えたこともなく、しかしそうかもしれないと思うのです。
また、河合さんのいう日本の文化が死を基調に発展してきたということと、藤原さんのいう儚いものへの愛情というのでしょうか、惻隠は結局同じことを言ってるのかもしれないと思いました。
わたくしも、英国についての藤原さんの感覚は同感でして、貧乏でもかっこ悪くても、尊敬される国になろうよ、という意見をいまの若い人達がどう思うかたいへん興味深いです。
那覇空港は鳥が飛行機に衝突したとかで、一時閉鎖、30分遅れで着陸でした。