ヒンクストンのゲノムキャンパス

朝11時20分発のロンドンヒースロー空港行きのBA便に乗りました。まったく同じ時間にガトウイック空港便がありました。チューリッヒの空港はすごく立派でそれにあわせてショッピングも高級感が溢れていてわたくしには縁がないかんじでした。ちょっと広すぎるのではないかと愚考した次第。孫たち二人にスイスのちょっとしたおもちゃと思ったのですが、そんな田舎っぽいものはどこにもありません。ほとんどの店も店を出しているだけで、お客は見かけませんでした。どうもこのあたりのスイスドイツ系のひとたちには、こういう場所でも庶民感をだして、賑やかにするのが下手なのでしょうか。

前回はケンブリッジに泊まってからヒンクストンに行きましたが、今回は空港から直接車をハイヤーして行きました。前もってファックスで頼んだら、ちゃんと返事がすぐ来て、空港には上品このうえもないわたくしと同じくらいの年齢格好のドライバーが待っててくれました。
飛行機が遅れてもちゃんとその時間にはいて到着出口にはいてくれるそうです。この会社に雇われているのでなく、普通のタクシー運転手が契約しているのでしょう。85ポンドでした。かなりの金額ですが、電車を使っていってもケンブリッジからは結局タクシーで相当の距離は行くので、十分な価値があると予想したものでした。実際に到着後90分で着いてしまいましたし、なんともいえず快適で、風邪が治りきらないわたくしには大変よかった選択肢であると納得しました。

今回はここで二泊するのですが、講演会場のすぐ側に部屋が割り当てられていました。ありがたいことです。
オーガナイザーのひとりVWさんはいつも朗らかですが、きょうはまた一段と朗らかでした。もうひとりのオーガナイザーのJBさんは真面目な顔をして冗談をいうわざがますますさせてる感じでした。
100人くらいしか泊まれないこのregional conferenceになんと260人とか登録したのですから、宿の割り当て、移動のための車の手配、から準備すべてにわたって非常に大変だったはずです。しかし、そういうところをおくびにも出さないところが、このあたりの文化なのでしょう。日本では景気づけにこういうとき、慌てまくって、小走りになったり、ハンカチでしょっちゅう顔を拭いたりして、興奮状態になる関係者がでがちですが、まるでいつものようにことが進みます。今回沢山来ている日本の若い参加者などに無言の教育になってると思いました。
こういう奥ゆかしさはやはりこのヒンクストンがケンブリッジで長年遺伝子研究をされていたサンガー博士の名前を冠してることからくる伝統になるといいですね。かれの人柄をおもいだしました。

講演会場は円形のような感じでここには300人以上はいるそうですから、今回の会議にはまさにぴったりです。フランシスクリックホールとDNA二重らせんの発見者のひとりの名前を冠していました。クリック博士は大変大声のひとでした。それとは関係ありませんが、会場の音響効果は大変良くて、質問もマイクロホンなしでよく聞こえます。
半球形のホールの外側に自然の空間を配してさらにリング状のガラス張りの広い通路があり、そこがポスター会場になります。最高の環境でしょう。リングですから、終わりも最初もありません。飲酒に寛容な英国らしく、ビールやワインを並べた台が所々に配置されています。

ヒンクストンは大変な田舎町で、たぶん誰に聞いてもこの町のごく近辺以外は誰も知らないでしょうが、世界最高のゲノムキャンパスとなっています。こうやって、この分裂酵母の会議に、このキャンパスの研究の水準の高さばかりでなく、ここがウエルカム財団という民間の基金で運営されていることも、初めての訪問者は強く認識すべきなのでしょう。
午後3時に沢山の人が集まりだして、交流が始まり、4時半から発表が始まり、夕食は多すぎるので建物から張り出したテント内にテーブルが沢山置かれて歓談の時間を持ち、夜は10時まで会議は続きました。移動日でありながら、きちんと会議もやる、これは日本国内での会議もだいたいそうなってきましたが、ヨーロッパ、米国、日本と世界中といえる参加の巾と広がりをかんがえたら、極めと効率的に会議が運営されていることになります。

追記:投稿してから、ニュースを見ましたら、なんと日本が1勝2敗でWBCの野球の準決勝に進むとか。同率3チームのわずかな差らしいです。こういう運を大事にしたいですね。これでまた、負けたら、今度はほんとに日本の野球は韓国よりはっきり弱いと言うことになってしまうでしょう。すこしでもバランスを戻して欲しいものです。米国は、前回は審判のおかげで勝った様ですが、地元運もここまででしたか。1勝2敗の結果をどう言い訳するか、しかも準決勝にも出られないことを、どう言い訳するか、そのあたりのロジックをどう作るかそのあたりがいちばん興味があります。日本は審判にやられてもヒステリーにならなくてよかったです。やはり人間も国も奥ゆかしさのあるところが最後は勝って欲しいものです。正義をかちとるには最後は結局強くなくては駄目ですが。歴史、歴史とか隣国が騒いでいる問題についてもそのように対応したいものです。

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