名誉著者について

昼過ぎはげしい風と雨がありましたが、夕刻になると穏やかな景色となり、日が長くなったので、夕暮れの長さを楽しめます。
まだ薪ストーブがほしく、室内の暖かさにゆったりした気分になりました。
今週は沖縄にも行く必要があり、それにいつもの仕事も沢山ありますので、忙しくなりそうです。

きょうは、名誉著者について考えてみましょう。こういううまい言葉があるのを最近まで気がつきませんでした。英語でみたのですが、honorary authorといいます。

つまりたいして、もしくはほとんど貢献は無いのですが、論文の著者になってる場合にこういう表現をするらしいです。名誉著者になるのには色んな場合がありますが、わたくしは、極力名誉著者にならないように努力してきました。また、自分の書く論文にはいろいろな事情でしかたない場合はありましたが、なるべく名誉著者を入れないようにしてきました。

さて、どんな場合があるのでしょう。
(1)試料などの提供で。
研究にはいろいろな材料が必要ですが、これを提供するときに、将来出る論文の著書になることを、要求するものです。すでに発表済みのものは本当は要求するのは、いけないのですが、実際には要求している人達は沢山おります。
程度問題なのですが、名誉著者を約束なのでしかたなくいやいや付けてるケースはこの場合が多いでしょう。こういうことばかりやってる研究者をみると、しょうがないやつだな、とわたくしは思います。
(2)研究グループ経営者として
まえに医学部の臨床系の教授のなかには、マンションのオーナーのような気分になって、医局員数十人の論文すべてに責任著者を要求する人達がいます。わたくしはこれを日本独自の悪習だし、早く止めないといけないと思います。またそういう教授連はひとことでいって恥知らずだと思ってます。もちろん十分な貢献があれば名誉著者でなく、必須著者として名前が出るべきでしょう。単に研究費調達や研究スペース提供者の理由では、弱いでしょう。

(3)指導教授として
大学院の学生のなかには本来の研究室で研究するのでなく、外に出て研究する場合がよくあります。そのような学生さんが受け入れ先でやった研究が発表されるときに、指導教授の名前を著者に入れることがあります。研究面でまったく貢献がなくても、一種のみかじめ料のようなかたちで、著者にお願いしたりするものです。これも望ましくありませんが、世の中の潤滑油と理解する向きは多いようです。

他にもいくらでもあります。ひと言で言って、たいしてもしくはほとんどもしくはまったく研究の実際面で貢献してなくとも著者になるような状況はいくらでもありうるのです。
わたくしも、なってしまった場合が数回あります。
そのうちの一回はわたくしがまったく知らないうちに、数年経ってから、PubMedで自分の名前が出ている知らない論文があり、吃驚したことがあるのです。内容をみると、たしかに変異体を送ったりしたことがあるかたが責任著者でした。もしかしたら、原稿を送ってきたのを、わたくしが真面目に読んでなかったかもしれません。申し訳ないような、後味の悪さです。
2,3年前にも、似たようなケースがあるのですが、名誉著者の申し込みに対して、断るのは失礼ではないかと思ったりしたことがありました。
最近ではそういう名誉著者は自分ではないと思っています。ほとんどすべての論文はわたくしが書いてますから。責任著者でないものでも、かなり時間を取られたりしたものもありましたから、それなりの理由があります。
自分の名前が著者として出ている論文で内容がよく分からないものはありません。

名誉著者というのは結局そうじて論文の具体的内容について、責任を持てる言動が出来ない人達のことです。だから、名誉でもなんでもないのですが、論文の内容の主体となる人達にとっては、彼等を著者に加える理由として、名誉著者とすれば、まあ穏当ではないか、そういうことなのです。
こんご名誉著者は決して無くならないでしょうが、でも試料提供とか自分がラボ経営者だからとか、そういう理由での名誉著者は段々減っていって欲しいものです。特に本来名誉著者になるべき人達が、責任著者になるのは、本当に最悪です。
これは出来るだけ早く止めるべきです。
また、名誉著者ばかりの論文リストを見ると、嫌気がさすことがあります。
論文リストを本当に責任を持てる論文と、そうでない論文を分けて出して欲しいものです。語るに落ちるケースですが、研究者のなかにはそういう名誉著者論文が多いと、他人もそうだと思うらしくて、真の共同研究論文がまったく分からない人達がいます。まさにお里が知れるケースです。

ところで、これを書いてるうちに思い出したのですが、著者になるべく十分な貢献をしてるはずなのに、なぜか入れて貰えなかったケースを二つおもいだしました。わたくしも言えばよかったのかもしれませんが、あほくさいので言いませんでした。しかし、そういうことがあれば馬鹿らしくて相手に協力する気分ともなくなり、疎遠な関係になった方達がいます。

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