東京大学の報告書

今朝は激しい突風でどうなることかと思いましたら、やはり湖西線電車がなかなか来なくて、きても混んでまして、久しぶりに満員電車に乗りました。西大津駅に着いたときに車内アナウンスでこの電車は2時間遅れてますとあり、吃驚。結局予定の時間より20分遅れで山科着。しかし、ほんとに乗客の一部は2時間以上も遅れて我慢して乗っていたのでしょうか。昔なら、暴動的ムードになるでしょうが、いまの日本はたいしたもので、不満そうな態度をしめす乗客は一人もいませんでした。わたくしなど20分遅れでもムカッとするので、人間修養がたりません。

知り合いの方に教示されました。東京大学のホームページから、例の捏造論文に関する報告書がダウンロードでき、読めるとのことでした。
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_180330_01_j.html

さっそくしましたら、ファイルは4つありまして、最終調査報告の記者会見資料と添付資料3つです。資料は、以下に記すように、20ページ程度の報告書(3月29日付け)と川崎助手からの意見書、多比良教授の所感です。

日本RNA 学会から再現性に疑義が指摘された論文に関する最終調査報告(記者会見資料)
添付資料 1.日本RNA 学会から再現性に疑義が指摘された論文に関する最終報告書(平成18年3月29日提出) 2.川崎助手から提出された意見書(平成18年3月27日提出) 3.多比良教授から提出された所感(平成18年3月29日提出)

急ぎ、斜め読みしたていどですが、全般的にかなり詳細にわたって個々の論文の問題点を論じております。慎重な結論付けではありますが、多くの論文に捏造データがあるのではないかとの見解が記されています。
この調査報告の、公開性、透明性にたいへん感心しました。こんご類似の問題が起きたときに重要な前例になるでしょう。特に、調査委員は工学研究科所属の教授4人以外に、以下の外部のかたがたが専門調査委員として記されています。このリストにより、この調査報告が、わが国の望むべき最高の布陣での専門調査を行ったことは自ずと明らかです。

専門調査委員
饗場 弘二(名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻,教授)
上田 卓也(東京大学新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻,教授)
塩見 春彦(徳島大学ゲノム機能研究センター,教授)
中村 義一(東京大学医科学研究所基礎医科学大部門,教授)

これから、時間があるときに詳しく読んでみたいのですが、東京大学はこの難問を着々と解きほぐしており、これまでの処置というか処分も巧みであり、また公開性についても非の打ち所がない、とおもわれます。

なお、やはり同じ方から、ソウル大の報告書の翻訳が以下の科学技術文明研究所サイトからのダウンロードで読めると教示して頂きました。
ちょっと見ると、これも詳細にわたるものです。
http://www.clss.co.jp/hwang/framehwang.html

これらの資料では、人名など一切の黒塗り部分もなく、このような資料を利用して、今後いろいろな議論が出来るものと思われます。

捏造事件はたいへん困る出来事ですが、当該研究機関での、事後の処置が健全であるならば、救いもあり、また研究者コミュニティーの力強さを感じることもでき、気分がよくなる情報でした。

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