三条通から研究室まで朝と帰宅時に歩くのがだいぶ習慣になってきました。あるかないと気持ちがすっきりしません。おもしろいものです。道中、いろいろ見るものがあるのがやはり京都のよさですか。しかし、夏になって暑くなったら無理かなと持続性には気弱ではあるのですが。
ストラスブールにヒューマンフロンティアサイエンスプログラム(略してHFSP0)機構という国際機関があり、そこの事務局長をしているトーステン・ウイーゼル博士が今日講演されました。HFSP0の活動内容とかつてノーベル賞を受賞された視覚の研究と二本立ての内容でした。わたくしもかつてこのHFSPOの審査委員や科学者会議のメンバーをしている時期があり、活動内容はよく知ってるつもりでしたが、改めて聞いてこの機構を作ることに尽力されたいろいろな方々の大変な貢献にを思いいたしました。政治家としては中曽根元首相の貢献が著しいことはよく知られています。現在も基金の半分は日本政府が拠出しています。
世間ではそれほど知られていないかもしれませんが、脳機能と分子機能の二つの面で国際チームの研究費や大陸を越えて研究する優秀なポスドクへの奨学金をだしていまして、実績も評価も非常に高い国際機関です。
ウイーゼル博士は80才を越しているのに、現在も大変お元気で、歩き方などは壮年のような感じです。きょうも内容の濃い、90分の講演をこなされました。
視覚の方の話しは、やはり部分的にしか理解できませんでした。わたくしが弱いのはまちがいなく脳の話しでして、基礎教養のなさを特に英語での語彙のすくなさを強く感じました。ハングルをこれから少し勉強しようかなどと思い出してるのですが、脳の話しもやはり英語の本で読まんといけないかなと思った次第です。年をとっても勉強せねばならぬことは山積しています。
ウイーゼル博士と講演のあとで何人かのひとたちと一緒に昼ご飯を食べました。U教授がなにからなにまで準備をしていただいたことに感謝です。
総長を訪問した後で、竜安寺を見に行くといってました。インドからやって来て、これから中国を何カ所も訪問して香港から帰国とか。一ヶ月ひとりで旅行されるタフさに脱帽です。彼のような元気一杯な80代ならばあやかりたいもの、と真面目におもった次第です。
ところで亡父の絵の額縁をつけたものがだいぶ出来てきました。こうやって額をつけると随分印象が異なり、30年も前に描いた絵がフレッシュに見えます。
一枚しか無いのが絵の特徴なのですが、これは誰それの模写などと断らなくても、どなたかの家の部屋に個人的な好みでかけられていたらそれだけの事なのですね。文句を言いそうな人に見せなければいいというか、問題にならないはずです。
展覧会とかパブリックに自分の作品として展示なり発表すれば、やはりたとえ誰それの模倣と断っても、今回くらいそっくりだと難しいでしょうね。個人の秘蔵品ならそれですんでいて、時がかなりたって、世の中に出たりすることは当然あるでしょうが、やはり作家の死後のケースが多いようです。陶器の世界でも模倣品が国宝になるようにしかけた作家がいました。模倣行為は人間の本能みたいなものなので、模倣自体をおとしめたり非難することはないとおもっています。しかし、模倣で名声を得ようとするというか、世間に伝えずに自分のオリジナルといえば、それはいけません。研究の世界での既になされた研究を引用せずに自分のものにしようとするのとそのあたりはほとんどおなじで、心ある人の顰蹙をかうことになります。