「助教」考

世間の人は、実はわたくしも最近まではそうだったのですが、大学の助手がおおむね助教というあたらしい職名になることを知らないでしょう。
当のご本人たちも、自分の職名が変わるらしいのを、大学当局からでなくて新聞で知った人がおおいくらいまだ世間では関心をよんでいません。

しかし、なんで名前がかわるのか、助手は見た目にも言葉の意味からも大学での助手の人達がやっている仕事の内容にそぐわない、のは確かです。
ただ、この「助教」という新ネームがふさわしい名前なのか、それはどうでしょう。
今朝、知り合いのKさんに聞いたら、4月からそういう名前になるはずなのにまだどこからも正式には聞いてないそうです。わたくしは、彼女に英語名を聞いたのですが、やはり不明だそうです。そういえば、彼女のいうとおりいまの大学の助手の職名も英語ではassistant professorと訳したり、instructorと訳したり、いろいろでした。ただ、助教を気に入ったかどうか聞くのは忘れました。

わたくしの最初の印象は、「授」をけちったな、というものでした。いままでの助教授を準教授と呼ぶらしいので、助手も格上げで、助教授になるのかと思ったら、「助教」とはなんか、けちったか、値切ったか、という印象があったのです。
でも考えてみると、そうか「講師」という職名は残るらしいので、そうなると、助手を助教授にすると、逆転してしまうのですね。筑波大などは、たしか助手がなくて、講師が多いはずです。講師も助手も両方全廃して、両方助教授でいいと、わたくしなどは思ってしまうのですが。職名だけなら、けちるより、大盤振る舞いのほうがだいたいうまくいくものです。
いずれにせよ、「助教」の語感はあまり良くないのですが、大学というところはそういう点はきわめて鈍感ですから、このままいくでしょう。10年も経ったら、なんとなく定着するのでしょう。実は、助教には期間限定の職にしようという動きがありますので、このあたりが現在助手である人たちの不安と不満があるのですが、それには触れません。いろんな大学の研究室で、教授、助教授、助手と並べると、助手がそのなかでいちばんいいというところはかなりあります。そういうことは、たぶん世間は知らないし、知っても興味はないでしょうが。また、個人の歴史で言うと、助手の時が一番いい研究者だった人は相当います。教授になってだめになった人達はいっぱいいすぎて困ってしまうくらいです。

ここから先は、無責任な感想です。
看護婦を看護師と呼ぶようになったように、助手を「助師」と呼ぶのもあったかな、とおもいました。
インストラクターを助手の職名にするのなら、指導員というのもありました。これじゃ、スキーの指導員の語感になるので、指導師なんて言うのはどうでしょう。なんか偉そうな感じで、教授よりも偉い感があります。わたくしも、教授よりも指導師に教わりたい感をもちます。

タイトルとURLをコピーしました