あさがたは寒い日でした。玄関から見る道路の向こう側の大きな桜の木はまだ花がしっかりついて満開です。川筋ですから,寒い風が強いのでしょう。反対側の小さな公園のそばにある桜はもう散っています。風よけがあるのでやはり暖かいのだと思いました。
フランスはもうすぐ大統領選ですが、四人ほど有力候補がいて、うち一人が女性です。四人のうちの一人は極右という冠で日本では紹介されているのルペン党首です。もう78才だそうですから、古強者です。前回の大統領選ではシラク大統領と決選投票になりました。フランスにそんなに極右思想が強いわけではなく、そういうレッテルを貼られるのはおかしいのです。それなりに耳を傾けたくなる意見も言っているのです。つまりフランスという国の伝統的な価値を維持しようという考えが根底にあるのです。しかし、それは結局移民を出来るだけ減らす、ばあいによっては排斥に向かうわけですから、フランス国民として生きている移民出身者からみれば「極右」ともいいたくなるでしょう。また必要な時は大量に呼び込んでおいて、過剰になったら国へ帰れでは、これも国の政策としてひどいものでしょう。ただルペン氏は、政権をとったことはなく、割合一貫して純粋フランスを主張していることは確かなので、それなりに首尾一貫しているのかもしれません。
今回は予備選で、二位にはなれそうもないので、日本ではあまり話題になっていませんが、なぜルペン氏がそこまでの支持を獲得するのか、イスラム系の若者の暴動や、パリ郊外に多い、荒廃した町並みを見ると、今更かもしれませんが、フランス人の相当多くがルペン氏の主張に心が向いていることは間違いありません。
日本では、このような類の政党が伸びてきません。あたりまえでしょうか。
フランスなどヨーロッパ大陸の国に比べると移民の数は圧倒的に少ないのです。
ですから、移民にたいする反感を基礎とした「極右」政党はいまのところ日本では生まれる可能性はないとおもいます。
石原東京都知事がよくいう「三国人」という表現で首都圏がだんだん物騒になってきた原因をそれとなく暗示するやりかたはどこか手法が似ていますが、でも石原知事は移民排斥ということを言ったことはないでしょう。北朝鮮拉致に関係して、北朝鮮に対する強い反感はあるものの、これも政治運動になるほどのものにはなってないでしょう。
しかし、日本のもともとある伝統的価値を大事にして、一種の対外排斥に向かう政治運動はこれから近い将来にあるような気がします。
いまの若い人達を中心にそのような排外的な考えを政治的にアクセプトする受け皿はもうあるような気がします。
相手はどこかというと、わたくしは結局排外的な感覚が「米国」に向かうとおもいます。
日米安保としての同盟国関係の空洞化は着実に進んでいますので、米国との軍事「従属」同盟を断ち切りたいという欲求を強くもつ日本人の数は着実に増えるでしょう。しかし、相手は世界無敵な軍事経済複合体国家、よもやまともに米国を排斥するとか、国の方針がとられるとも思えません。しかし、一部の日本人がそう考えだしても不思議はありません。
従軍慰安婦の問題などが米国で取り上げられ、米国人によって強く非難されるという構図を快く思わない日本人は若者を中心に静かにその数を増やしていると、わたくしは思います。そんなことを言われたくない筆頭の国の人達に、いまもそういわれている構図は、なぜなのだという、素朴な疑問と怒りを若い日本人の間に増やしているでしょう。日米安保条約は破棄すべきかと聞いたらいまでも驚くほどの割合の人達が賛成するでしょう。現在の、北朝鮮との交渉でも、米国が結局日本などほとんど考慮しないで政策とを進めていると感じている日本人は多いかもしれません。
きょうは、ここまで時間切れですが、そんなことは共産党がいってたことと似ていると言う人も多いでしょう。一部は主張がかさなるでしょう。
今後反米感は非常に複雑な様相を呈するはずです。しかし、政治運動にまで到達するマグマがいまの日本人の間に強くあるとは思いません。
しかし、弱小政党ですら、そういうのがないのは不思議な感があります。
そういう「弱小極右政党」が出来て、議論を重ねる過程で日本が政治的に成熟した考えを持てるようになればいいのではないかと思います。