自動車部品工場の災害に学ぶ

中越沖地震の被害は色々なところででてるようですが、自動車部品の供給のトラブルのニュースが関心をひきます。エンジンの部品のピストンリングというものを作る会社が柏崎にあるとのことですが、この会社の地震による被害で、日本中のほとんどすべての自動車生産が中止に追い込まれてるとのことです。
このような事実は、色んな会社が競っていろいろな自動車を作ってるとはいえ、外からみえないエンジンの枢要な部品は実は国内でもほとんど一社とかせいぜい二三社らしいのです。
しかも興味深いことに、この会社のトラブルに全国の自動車会社から600人にもおよぶ人達がボランティアというのか派遣されたというのか、やって来て一緒に一刻も早く操業再開のために協力しているとのことです。
細胞のような生命体を危機に陥らせると、その対応が起きるのですが、今回の出来事と相通ずる現象が多いものです。

まずこういうことが起きないために、複数の予備を持つしくみがあります。余剰な遺伝子があれば、一つの遺伝子がだめになっても代わりが代行するのです。トヨタのカンバン方式では無駄を無くするのがすべてでしょうから、そういう余剰というか過剰な下請け会社はつくれないのでしょう。そのあたりが、豊かな過剰性というか余剰性のある生き物のしくみとの違いを感じます。しかし、生き物でも予備を持たない遺伝子機能も沢山ありますから、一般性のある違いとは言えません。

次ぎに興味を惹くのは、操業停止の現象です。これに類似した現象は生命体ではしばしばおこります。総称してチェックポイントコントロールといいまして、損傷などがあれば修復完了まで、細胞増殖などを止めるしくみがあるのです。今回の操業停止が非常に広汎な広がりを持つことにある意味驚きました。沢山の会社、沢山の車種が、みなこの柏崎にある会社のピストンリングに依存していた、という事実です。これは、危機対策を考慮したうえでなおかつこのような一社依存という状況があったのか、生物研究者にとっても興味深い点です。生物体の中でも広汎な損傷回復に関わっている遺伝子というかタンパクもあります。しかし、これほど多種多様なものが一斉に止まってしまう、という事態はなかなか起きにくい、つまり生物のほうでも危機分散のしくみはかなり必須なのでしょう。
わたくしが、さらに興味をもったのは、この600人にも及ぶ助っ人を派遣することを決めたのは、各社の間での話し合いか、それとも自然発生的にみな集まってきて、やっているのか、彼等の間にどの程度の協力関係があるのか、そのあたりです。
ニュースではなかなか分かりませんが、工場内に沢山の類似の機械が置いてあるようで、それぞれが、異なったお得意会社の異なった車種のピストンリングを作っているのか、そのあたりはどうなっているのだろうという関心です。実は600人はそれほど協力しなくて、自社の製品を担当する機械をおもに直しているのか、そのあたりこの助っ人衆が結局何をしているのか、そのあたりの興味です。
最後の興味は結局、人間はこのような場合、細胞のような生命体よりも賢くふるまっているのだろうか、ということになります。

ところで朝日新聞は、きょう参議院選挙予測を大々的にやって、民主が勝つとしましたが、ちょっと大丈夫かなとおもいました。しかし、読売もネットを見ると同じような傾向の調査結果なので、朝日の安倍憎し、というわけではないよう現状では客観的な結果のようです。
そういう結果をみて無党派のひとたちがどういう投票行動にでるのか。この場合は、流れを強める方向に行くような気がします。

タイトルとURLをコピーしました