会合のほうは昨日の夜に終わって、きょうは早朝発ってアテネに向かいます。直行便はなくてウイーンで乗り換えです。
やはりDNA損傷修復の分野は手堅くてちゃんとやってれば分野的な意義もたしかだし、医学的な重要性もあるので研究費はだいたいもらえるようです。これまでは異分野で名前をよくしっていた構造生物学のJTさんも出席して、分裂酵母のタンパク質の結晶構造をどんどん精力的にきめているのを聞いて感動しました。
なんかこのあいだまでは迷信があって、分裂酵母のタンパクは結晶化しないとか、そんな話を聞いてましたのに。そういえば、つい最近もコロンビア大学のグループが、わたくしがかなり興味を持っていた複合体の構造をはじめて分裂酵母のタンパクで解いていました。いつのまにやら、小さいけれどもビッグな生き物になってきたのだ、遺伝学が進んだのと、競争相手の出芽酵母がもってないものがずいぶん見えてきて、分裂酵母を使って参入しようという異分野人が増えてきたのを強く実感しました。
こんなところに、人が沢山住めるのか、というような過疎地帯的なモデル生物が20年くらいでひどく賑やかになってきた、というところでしょうか。そういえば、出芽酵母の研究会に寄生しつつも、おなじ生き物をつかう同業の研究者にあえたのがフランスのモンペリエの会でした。その時は、たぶん80年くらいでしたか、NさんとFさんでしたから、わたくしも入れて3人でしたか。
ノルウエーは石油で国にじゃぶじゃぶお金が入ってきても、政府はどうつかっていいかわからない、こんな話を前回の訪問でもBさんから聞きましたが、今回もやはりそのようなことらしいです。お隣からのスエーデンからきたEさんは、スエーデン人がかなり羨望の目でノルウエーをみているのは事実と認めてました。しかし彼もノルウエーは社会資本にあまり投下しないで世界中の債券みたいなものを買いまくっていて、どうしようとするんだと言ってましたから、国内、国外共に同じような批判があるようです。
日本のように借金ばかりの政府をもった国民からみると、どっかで石油でもなんでも出て欲しいともおもいますが、たぶんじゃぶじゃぶと使うほうの政治家が増えてろくなことにならないかもしれません。
この国で感じることは外国人が多いことです。外国人はアフリカ、アジア、中東、インドなどからきている人達がどうしても目立ちます。
アバウトな国民性もあるのでしょうか、このホテルなどではたらく外国人の仕事の質はかなりアバウトで、それをいちいちとがめてていたらたいへん、というのが実感です。
実際、Bさんは外国人が急速に増えているといってました。とくに外国人の出生率が非常にたかいのだそうです。
そこで、すこしくだらない話ですが、夜の食事時で話題になったのは、出生率をあげるのには意図的な停電がいい、とかいうはなしでした。ニューヨークの大停電ではその日が原因とおもわれる出生率の一時的にシャープな増大があったのは、語りぐさですが。産児制限用のものが探しても見つからないような夜間停電をなんども繰り返すと、出生率が上昇するのではないか、というものです。おはなしですから、ノルウエーが実行しているわけではもちろんありません。出生率低下にあえぐ、日本とイタリアはぜひとりいれたらどうか、というのが同じテーブルの人達の意見でした。