田母神(たもがみ)俊雄幕僚長の論文について、

思っても言わない、そういう状況がありうるのは、これは大人はもちろん子供だって6才くらいになれば知っている、この世をいきるうえでの知恵です。

自衛隊の航空幕僚長とは、もちろんそういう知恵はあるすぎるくらいの人しか、到達できない地位である。そういう人が書いた論文が物議をかもしている。不思議なことです。もしかしたら、定年まじかになって、わたくしもそうであったように、子どもがえりをして、常識を捨て、言いたい放題を始めたのかも知れません。

ことの起こりはこうです。まず新聞が内容を詳しく紹介しないで、この人が懸賞論文の最優秀賞を獲得した、内容は日本の侵略は濡れ衣と主張するものという一行を書き、ついで現役の幕僚長であること、近隣諸国が怒るのは必至、という予想が大半を占める記事を流し出したものです。ついで、一日たって、韓国や中国は自制的というかなり失望した雰囲気の記事を書き、暫くしてやっとよりきびしいコメントが近隣諸国からでてホッとした感じになった、こういう具合です。国内では、しずかなものです。内容の細部を報道したものもまったくありません。政府は首相や防衛大臣がネガティブなコメントをだし、田母神氏は更迭されました。

侵略は濡れ衣という、新聞の一行紹介では飽き足らないので、ネットで検索すると無料で読めることにきがつきました。英文のも読めます。わたくしが紹介するほどのこともないので、興味のあるかたは、ぜひ探して読んだらいいと思います。
わたくしは、読んだ後の印象は、複雑な気持ちです。しかし論文が真面目な意図でかかれたし、これを最優秀にしたのはおかしいとは思いません。

でも、米国人と始めて原爆投下の問題で激しく議論して最後はけんかになったのを思いだしました。彼等は投下は当時は最高の策で、落とさなければなお数百万人の人々が死亡しただろう、日本人に非難されるいわれはない。かれらが学校で社会で繰り返し学んだことはそういうものだったのです。
もしも、田母神氏が書いた考えをわたくしが子どもの頃から聞いて学んで、それを近隣の国々人々に開陳すれば、彼等が怒り出すに違いありません。たとえ正しくとも、そういうものです。
米国人が日本がこういう豊かな国になったのは米国の占領政治のおかげだと言ったら、日本人の多くは不快に思うのは間違いありません。
しかし、この論文は小冊子ではありますが、将来の日本ナショナリズムの小冊子のバイブルともなりうる、なかなか説得力を持った政治アジテーターだと思いました。
特に自衛隊関係の若者にはかなりうけるし、一般の若者にも相当な説得力があるでしょう。しばらくは世間は忘れるでしょうが、でもここで指摘されていることは、日本が今後社会や教育の場で避けて通れない問題でしょう。国論を統一などまったく必要ありませんが、氏のいうことをもっともと思う人はこれからどんどん増えるでしょう。
わたくしはこの論文の内容のポイントなるひとつひとつについて、中立的な現代歴史家が丁寧に吟味をして世間に知らしめて欲しいと思いました。

なお、田母神氏を懲戒解雇にするとかいう案があるようですが。絶対にいけないとおもいます。普通に定年退職してもらうのがいいでしょう。せいぜい大臣が訓告するくらいのことでしょう。彼はまちがいなく、一部の人々のヒーローとなっているのでしょう。

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