週末に衛星テレビで映画デルスウザーラを見ました。黒澤明監督にとってはどういう意味がある映画なのか分かりませんが、ソ連に一年半も滞在して作ったと聞けば、心血を注いだのでしょう。
わたくしは映画を見ているあいだずっと黒澤監督がどのような気持でこの映画を作ったのか考えていました。異国での映画作り、功成り名遂げた監督がエコノミークラスに乗ってはるばるソ連、ロシアの辺境に出かけての長期にわたる映画作りさぞ大変だったでしょう。でも、この映画は姿三四郎を作る前からずっと暖めていた脚本と聞くとこの監督の懐の深さと表面では理解できない職業上の情熱を感じるのです。
わたくしも定年のあと英国でラボをもって働くべく努力した時期があって、結果は駄目だったのですが、でもいまでも海外での人生を送れなかったことについて、強いわだかまりがあるので、このデルスウザーラをどうしてもそのような個人的側面で見ざるを得ませんでした。
感想としては小品ではあるが、環境問題や文明的に考えても未来的な意義があるのでしょう。しかし、黒澤ファンとしては、この偉大な監督がこの時にこのような映画を作ったという事実に心打たれます。
それと同時にこの監督がわずかに30作しか映画を作れなかった不運を彼ととともに嘆きたいです。
わたくしは映画を見るというよりはむしろこの不世出の監督の65才での気持を忖度する機会を与えてくえる映画の存在に感謝したい、と思いました。
きょうから神戸です。午後3時からの学会理事会に出席しました。
まだ終わる前に失礼して今回の招待講演者のひとりPNさんを神戸の町に連れて一緒に食事をしました。
いろいろな話ができてたいへん有意義でした。
神戸の町はルミナリエで人が沢山でていました。