成人の日、草食動物系の男の子たち、文藝春秋、がんと筑紫哲也、立花隆、鳥越俊太郎三氏

きょうもまだ雪が前夜すこしですが降ってこれでは比良では雪が深くて作業ができないとおもいまして、行くのを中止。これで連休中にいちども行きませんでした。それで、ラボのほうに来て、仕事をしています。インドから短期来ているRM君と、I君が来てるだけでした。静かなものです。がつがつ働く研究者は日本では若者のあいだででは天然記念物的と誰かが言っていました。

成人の日であることに、電車に乗って気がつきました。さすが着倒れの町か、二十歳の女の子の華美なこと。それにひきかえ、男の子の地味なこと、せいぜい髪の毛を上に立ててるくらいで、ちょっと極端なコントラスト。草食動物系の男性が増えていると、なにかで読みました。そういうことと、関係があるのか。

いまの若者に対して一番の違和感はかれらの名前です。わたくしのながい人生でそんな名前にぶつかったことがないような名前を軒並み子どもたちが持っているのですね。それに漢字を特殊に読みますので、どう読むのか分からないのですね。いったい、だれがいつの頃からこんな名前を流行らせたのか、元凶を知りたいものです。命名については、へんな感覚の親が増えたのでしょうか。それともこんな変わった名前の子どもたちは一生プライドを持ってそういう名前で生き続けるのでしょうか。そうなら、わたくしのいってることは年寄りのたわごとになりますが。

久しぶりに月刊誌の文藝春秋を買いました。前回はいつか憶えていません、たぶん数年前かもしれません。秋篠宮様が天皇になる日、という刺激的なタイトルで何か特別な情報を持っているのかと思ったらそうではなく、だれでもが思うような話かゴシップ的なものでした。より骨太にこういう問題にはアプローチして欲しい、と思いました。 

筑紫哲也氏の死へいたるまでのがん闘病記、それに立花隆氏と鳥越俊太郎氏のがん闘病の体験対談は興味をもって読みました。この方たちは、がん治療には該博な知識をもっており、さらに自らのがん体験をかなり詳しく述べています。勇気のいることだと思います。マスコミの世界で、もっとも知名度の高い人たちなので、このような記録は、一般の人たちに、かなりの影響力があるのだとおもわれます。
だからこそ、というか、ぜひ筑紫氏も含めて、がんの予防策や治療方法などについて批判的な発言をして欲しかったとおもうのです。この方たちの、社会へのスタンスは相当に批判的なので、そのあたりを期待したのですが。
がんという病気は、いくら予防してもなってしまう面もありますが、統計的にはというか疫学的には、予防の効果は相当にあります。食べるものを中心にかなり生活習慣に依存する面もあるのも確かです。塩分の多い食事を控えることで、胃がんは減ったものの、一方で洋風の料理で大腸がんが増えているともいわれます。喫煙はすべてのがんの原因ともなりうるといわれていますし、一方でピロリ菌や何種類かのウイルスが子宮がん、肝がん、乳がんの原因ともなることもしられていますので、感染を避けることも大切でしょう。
人間はだれでもいつか死ぬのですから、死因となるものががんであることは、いまも将来も30%くらいかもしれません。そして、二人に一人はがんを経験するということも医学がいくら進歩しても変わらないかもしれません。しかし、元気に健康で長寿を達成し、比較的短期間の病で死ねたら素晴らしいことでしょう。がんはそういう意味では、突然死ぬのでないので、死を準備する期間があるので、そういう意味で、良い死生観をもって人生を終わることができる、という感想をもつ人もたくさんいることは事実です。
がんの治療についてはいろいろな難しい問題があります。
治療法のなかには、効くか効かないか個人差や確率的としかいいようのない、わからないものがたくさんあります。たとえ話でいえば、川のこちら側から向こうの岸まで、丸太橋をわたるような感じがあります。細い丸太なのか、かなり太い丸太なのか、説明を聞いても分からないし自分にあてはまるのかそれもわかりません。
がんが進行している場合は、無理して向こう岸に渡ろうとしないで、こちらにずっといても「最後までの日々」はほとんど長さは変わらないかもしれません。それで生活の質は最後の寸前までありふれた日々となるかもしれません。丸太をわたろうとする冒険的なものとは異なります。
治療という丸太を渡ろうとするべきかどうか、わからない、がんの治療法についてはそういうものがかなりあります。多くのがん患者がいちばん悩むところのようです。化学療法で使われる薬剤の効果や放射線の効果を考えると当然そうだろうと思うのです。

わたくしは、このような著名なマスコミの権威のかたがたがいま行われている、がんの化学療法や放射線療法などについて、シャープな意見をきけるのではないか、と期待したのですが。それはありませんでした。

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