アップルコンピュータの創業者でもあり、現在の同社のトップでもあるスティーブジョブズ氏が半年ほど、病気休業するそうです。いわゆる激やせというのか、痩せてきてその原因はホルモンのアンバランスであるとか。たいしたことはない、トップは続けられるとかいう報道もあったのですが、どうもやはり周囲が喧しいので休むらしいです。
ネットに一年前といまの写真がありましたがたしかに相当にやせてきています。痩せすぎのことはまちがいないでしょう。ホルモンのアンバランスというので、脳下垂体とか甲状腺にからむホルモンの過剰発現とかそういうものかもしれません。わたくしの乏しい医学知識によりますと。でもご本人のいうとおり、時間がたてばほぼ完治できるようなものである可能性が高いと思いました。異常に太るよりはたぶんずっとたちがいいはずです。
細胞にストレスがかかると、多数の遺伝子がそれに反応します。ストレスレスポンス遺伝子などと言いますが、そういうものの遺伝子の数は非常に多いものです。たとえばわたくしが研究している分裂酵母という微生物にある全遺伝子は少なくて5000なのですが、うち15%くらいの遺伝子がストレスがかかると反応します。
ストレスもピンからキリまであるのですが、一番分かりやすいのは高温ストレスです、熱ショックたんぱくしつなどいうのが典型例です。DNAに傷をつくるような紫外線のようなDNA損傷ストレスもわかりやすいでしょうか。あとは、酸化ストレスとか、重金属ストレスとか浸透圧ストレスとか、ストレスはいっぱいあります。栄養ストレス、特に飢餓ストレスもだんだん研究されてきています。
沖縄での研究は増えない細胞がいかにして長生きを保つのか、そういうことを研究しているのですが、どうも結局このストレスの研究から逃れることは出来ません。しかし、羅列的な研究をしてもしかたがないので、ストレス反応の奥深いところを理解したい、特に増える細胞と増えない細胞で反応のしかたになにか根本的な差があるのか、そのあたりを考えているわけです。
細胞増殖が活発だと、たとえストレスが多くても、子孫細胞がたくさん出来てくればそれで生物としては問題をしのいでいるのですが、増えない細胞だと、子孫細胞を作れないので、なんとか長生きして、いつの日か細胞増殖の出来る環境に移行するまでは長生きしようという戦略になるでしょうから、とうぜんストレスへのレスポンスは非常に多様かつ活発で微に入り細にうがっている感があります。