こんかいのこの最先端研究費への色んな大学での対応が聞こえてきますが、首都圏のT大学あたりでは、ひとつの研究科からたくさんの応募があって、一つ通ればそれに沢山の研究室がしがみつくという、路線を選んだとか聞こえてきました。嘘と思いたいですが、それが本当なら、情けなくまた最高権威大学の退廃としかいいようがありません。別な有名大学では、有力教授が沢山いるのに、申請金額の多さにびびってなんにも応募がないとか、これも情けない。
ところで、この研究費の存在を研究機関の事務が各研究者に伝えてないので、しらなかった人たちがいたようですね。大学、研究所ではこれらを情報としてメールで流しています(るはず)。内閣府が研究費の胴元なのでさぼった事務当局があったのか、うちにはそんな高額の研究費を出す人がいない、と勝手に思ったのか、どうなのでしょう。いずれにせよ、耳よりの研究費など新聞やテレビででるわけでなく、自分で情報網を拡げる以外に道はないのです。大半はトップダウン、こそこそと税金の分配先を決めているんです。だいたいが独立行政法人ですから、ここを民主党が攻撃の矛先にしているのも分かります。しかし、国立大学もそうなのですから、ピンキリの世界です。
ところで今回の申請時にe-Radなるものをわたくしもしげしげと体験して不可解な思いを味わいました。
e-Radとは府省共通研究開発管理システムという記憶できないシステム名ですが、要するに電子的に研究費申請のオンライン化ができるというもので、役所も研究者にとってもたいへん便利なはずのものです。http://www.e-rad.go.jp/がウエブで政府goアドレスおありますが、サイトの版権は文科省となっています。どこにこれを担当している人たちの実際の役所があるのか知りません。
不可解な体験は、今回の研究費の申請時にあったのですが、その時の不可解感は漠然としたものでした。つまり、e-Radの事務局を電子的に通過する事務手順と内閣府が要求する書類の違いを理解してなかったのでした。つまり、通販を申し込む的に相手の販売店と金額の支払いの2つの操作があることに気がつかなかったのでした。
申し込んでしばらくしたら、京大の研究科の事務から、本部の事務から、われわれの申請にはちょっとした記入事項に誤りがあるので、訂正して再度提出するようにとの、研究科事務を通じて間接的に指示があったのでした。
わたくしはびっくりしました。あの提出した書類は内閣府に電子的に提出したので、京大の一係長がなぜこのtop secret(ちょっとおおげさですが)の書類内容を読んで指示できるのだ、とこういうことです。しかもこの書類は、大学とは一切関係なく出せたはずなのに。それで、事務とやりとりがあってだんだん分かったことは、このe-Radがいろいろ申請時に書類を出させることを要求するのでした。しかもこのe-Radに出した書類を京大事務当局は全部読んでチェックできることになっているようなのです。内閣府は提出後の変更は絶対認めないといってるのに、変更後再度提出せよ、取ってるのは、このe-Radに出てくる書類を見ての京大当局の対応だったのでした。
そこで、おもいおこすと、書類を作り上げて終わったと思ったら、秘書のSさんに先生、まだ研究の概要と意義をそれぞれ千字以内で書いてください、といわれたのでした。おかしなはなし、とその時思ったのですが、これはe-Radなるものの巧妙な存在意義を主張するお役所的な要求で、わたくしは内閣府からさらなる、要求だと思ってしかたなく書いたのですが、要するにこの省庁かんの事務が研究費分配のアンフェアーな分配がないようにとの理由でe-Rad当局(たぶん文科省主導のお役所と推測)概要など2千字分を要求してきたのでした。これはすべて後で理解出来たことです。
でもトップシークレットの研究を2000字も書かされて、しかもこれが京大事務のお役人が全部読めてしまう。これがなぜできるのか詳しいしくみは分かりませんが、われわれのe-Radの登録番号をぜんぶおさえているからいるからどんどん中に入って読んだりできるのでしょうか。不可解です。まさか、申請書そのものは番号で保護されているので、読んでないでしょうが。
e-Rad提出時には他にも沢山書かされました。こういう情報はどこからどこまで守られているのか、まったく分かりません。全部京大研究部の当局事務なら誰でも見られるのか、それも分かりません。そうして、こういうとんちんかんな指示を顔も声もださずに、われわれにだしても誰からも文句をいわれない。いい仕事ですね。京大のえらいさんは全部のe-Radの申請の概要や意義を読んでわれわれのあずかり知らぬところで、なにか戦略を立てているのでしょうか。
このe-Radの研究者への最先端研究の機密情報への介入は知る人ぞ知る、という状況のことは間違いありません。
最初にいったとおり、国立大学も独立行政法人で、ここにとんでもないトップがいたらとんでもないことが次々におこるだろうとは予言されてはいます。京大は立派なかたがたの集まりですから何もないのでしょうが。
今回の出来事もじつは、e-Rad申請時に誤りがあったので判明したのでした。それがなければ、知らぬが仏でした。
実際には誤りはわれわれもすぐ分かって、内閣府とeRadヘルプデスクに直接変更を申し出て、言ったのですが、電子申請後は締め切り前でも変更はできない、変更しなくても本当の申請書に正しく書いてあるのなら、なんの問題もない、という返答をもらっていたのでした。
今日のブログは関係者に読んでもらえるといいのですがね。