合成致死と鳩山内閣のこれから

酵母の遺伝学での方法に合成致死法というのがあります。
遺伝子は色々な機能があるのですが、ある遺伝子をつぶすとか壊すという方法で機能をゼロにしても生き物のほうはなんの不都合を示さないものが意外に多いのです。一生懸命細かいところまで見ると微細な変化があったりすることもありますが、遺伝子の過半数はつぶしても何の問題もおきないようにみえるのです。
そこでもう一つの遺伝子を壊すことにします。つまり二つ壊すのです。どんな遺伝子を二つ目にするかですが、それも一つ壊すだけでは何の効果もありません。遺伝子がなにかの性質で似ているかとか、選び方は色々です。最近おりおりに会うカナダのトロント大学のCBさんは徹底的にすべての遺伝子とで調べる方法をロボットを使ってやるようなすごいこともやっています。
ともあれ、二つ目の遺伝子も壊してみたら、始めて大きな欠損をしめしたりします。
つまり一つずつでは、壊しても効果が無いのに、二つ壊したらはっきりした破綻が起きる、場合によっては死滅してしまう。
こういう結果がでると、二つの遺伝子を壊すことで合成的な致死効果がでるというのです。
こういうケースを遺伝的な相互作用ともいって、具体的な相互作用の内容は分からないのですが、でもこれら二つの遺伝子は機能的に関係していて、合成致死ならば生きるために必須な働きが二つの遺伝子に重複されていたとか、共有されていたとか説明するのです。
一番簡単なのは、同じ機能を持っている遺伝子が二つあった場合ですね。
もうすこし複雑なのは、それぞれ別の機能もあるのですが、部分的に共通する必須な働きもあるようなケースです。
もっと予想外なのは、見た目にぜんぜん共通面はありそうもないのに、ふたつつぶすと死滅するようなケースです。このような場合は、現象の裏によくわからない必須性が隠れている、こう考えます。それが何であるか、調べるのです。

これを社会現象に応用して考える事ができます。
鳩山首相にとって政治資金のスキャンダル一つではあまり致死的な効果は政治面ではいまのところ低いようです。
弟氏の同じ10億円のお母さんからのお小遣いがあっても、合成的な効果それほどみえてきません。小沢氏の政治資金のトラブルとも特に付加的な効果は見えてきません。
というわけで、鳩山首相は政治資金についてはあと似たようなものを追加しても単独での効果以上に合成性がなかなか出ないようです。同じようなものを積み上げても結局効果が増えないということです。

それで、首相の政治的な必須性は何かということになります。
沖縄の普天間移転問題の決着ができない、沖縄県民の怒りをかき立てる、経済が拡大せず新卒も含めた失業率の増大、社民との連立の維持、補正予算や次年度予算の作成でのぎくしゃく、日航への多額の資金導入、などなどと政治資金問題の合成効果はどうなのかということになるわけです。
いま政治資金をなんとか切り抜けていますが、これは首相はどうも金銭面でみえみえの嘘をつくらしい、ということとどうも指導性があまりないことはかなり多くの国民が感じています。
このあたりに激しい合成効果を引き起こすものがあるかもしれません。
岡田大臣や亀井大臣、それに福島大臣このような人達が主張したり、やろうとしていることと、首相の責任のとりかたが、うまくいかないようになると、激しい合成効果が出るつまり支持率が激しく低下する、とわたくしというか、たぶん多くの人たちが予想しているのでしょう。

残念ながら、科学技術への予算の冷遇、これとの合成性がいまのところありそうもないのです。
でもボディブローのように時間が経って効いてくるはずです。

なお意図的に書かなかったのですが、米国の怒り、これは合成でなく、単独致死性があるとの評論家識者の意見もあるので、もしかしたらあるのかもしれませんので触れませんでした。

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