わたくし理学部教授をしていた頃、オフィスの窓から目の前にちいさな墳墓が見えて、いつもきれいに手入れされていてそれを眺めるのがすきでした。
背の高い松の木が何本かあって、季節がくると実に見事に手入れされます。感嘆するくらい見事な技でで、さすが宮内庁管轄、職人さんも一流のがやるんだろうなあ、と納得したものです。
平素は誰もいなくて本当に希にしかこの小さな北白川の宮様の墳墓に人はみかけません。
きょうはこんなことから書き出したのも、実は宮内庁というのは国の中にある国くらいの格のたかい官庁だということです。
天皇家に関わる古墳はすべて宮内庁管轄です。全国で管轄しているお墓の面積は仁徳天皇を始めとして膨大な数でしょう。
それに御所や桂離宮などはいうにおよばず牧場とかいろいろあって、たぶん宮内庁管轄の面積は一県くらいに匹敵するでしょう。しかもこれらすべて立ち入り禁止です。宮内庁はさらに警察をもっていますす。持ってないのは大学とデパートくらいかもしれません。
そのトップが宮内庁長官です。陛下のお付きになるかた達のトップですから、宮内庁長官を悪く言えるのは先ずいないはずです。
それなのに、小沢氏が怒号をもって一役人がなにを偉そうに、と批判しましたが、さすが度胸があります。
宮内庁長官は陛下をお助けする役割と上記の膨大な管轄するものの総責任者トップに立っているのですから、他国のトップを批判するくらいの根性を持たないと、誰にも批判できません。
陛下にたてつくつもりか、とすぐやられてしまうでしょう。
宮内庁長官は首相が何代もかわってもずっと在任しているのですから、頭が高いことは言うまでもありません。いまの首相など怖くも何ともないでしょう。さらに現在の長官は自民党政府時代の前官房長官の中学、高校の同級生だったとなにかで読みました。
尊皇の魂の本拠、山口県萩市の出身なら、とうぜん山口県の議員さんである平沼氏や安倍氏が熱烈に支持するのも当然です。どこの馬の骨か知らない、北海道や岩手県出身の議員など佐幕の連中と歯牙にもかけたくないでしょう。
ちょっと軽口になってしまいましたが、でもまあ幕末的いまの世相を見るのも可能かなとも思いました。
そこで今日のタイトルですが、わたくしの子供時代、東大の総長南原繁氏はきびしく吉田茂首相を批判しました。南原氏が吉田氏より数段上の人物かのように新聞は報道しましたから、吉田首相は当然烈火のように怒って、南原氏のことを曲学阿世という言葉を残しました。
かつての東大総長は怖いものはどこにもいませんでしたから、首相など名指しで批判できました。しかし、いまは運営交付金を1%減額されても大学は死にそうな悲鳴を上げる落魄した平家の落人の時代です。
それにひき替え、天皇をいただき強大な宮内庁領地と中国嫌いの尊皇議員に囲まれて、宮内庁長官は怖いものしらずでしょう。いち役人がどうのこうの、と言った小沢氏はまあ本当に勇気のあるお方です。
しかし大マスコミは宮内庁も宮内庁長官をも批判的に見ることができないようですが、わたくしは目をこらしてこの官庁や長官そのひとの様子をしることも非常に大切だと思います。
ところできょうは夜は研究室の忘年会です。Zでやるとのこと。
いろんなことのあった一年間でした。一番はっきりしていることは、研究室メンバーが激減したことです。でも研究成果が激減どころか、面白いことが見つかりすぎて、わたくしの手にも頭にもあまってホント困ってしまうのです。
ラボメンバーの皆さんもですが、特にアルバイトでやって来て頂いている若いかた達に慰労ができるといいのですが。