老化の新しい科学 The New Science of Ageing

日曜日の朝に家を出て昨日の朝に戻ってきました。
ロンドンであった ロイヤルソサイエティでの老化の新しい科学というdiscussion meetingに行ってきました。とても勉強になり行った甲斐がありました。この分野の欧米のベストクラスのスピーカーが集まって、30分のトーク、15分の議論というスタイルでやるものでした。内容的には線虫やハエや酵母まで入った老化の研究から人間を対象にした老化までたっぷりといい話を聞け気持的に非常に充実しました。
200人くらいの会場には日本人はだれもいるようには見えませんでした。参加者リストを見ても、会場を眺めても。それは理由のあることです。老化の科学の基礎研究はその大切さに関わらず、老化は病気でないという「誤った考え」(私見です)が強く流布している日本など(他の国でも実はそうなのですが)では医学畑での研究層が非常に薄いのです。実際には医療も福祉にも膨大な政府のお金を使っているのですが、こういう肝心な先端を行く研究になると日本の存在感は国際的には非常に希薄なのでしょう。スポーツの箱ものには膨大な税金を使うが、スポーツ人には税金を使わないとかいうのと同じような流れの話になるのでしょう。こういう代表的な会議に日本の指導的な老化研究者がぜひ居てもらって世界の新しいトレンドにスムースに乗って行って欲しいと思いました。

このブログの読者にやくだちそうな色んな話がありましたが、一つだけ書いておきますと、10日間寝たきり(ベッドだけの生活)をすると若者も老人も筋肉量が同じくらい減ります。筋肉量なので、体重計をはかってもわかりません。ちゃんと筋肉量をはかる装置をつかいます。問題は回復なのですが、若者はどんどん回復するのですが、高齢者は回復が非常に遅い。かなり体力が落ちている人では、もう元には戻らない、というのが印象的なデータで提示されていました。筋肉にも幹細胞があってこの数というか能力が年齢と共に劣化してくるのが原因なのでしょう。
ある日転んで,10日間くらい寝た後で、決定的な老化が起きるという話などと呼応しますね。

わたくしが聞いていていちばんほれぼれしたのはスエーデンの酵母研究者の老廃タンパクが母細胞にのみ溜まるというしくみの講演でした。それからライデン大学を中心とする大規模の長寿者の研究の発表は身が乗り出るくらい面白かったでした。女性の発表者も大変多く、バランスのとれた健全な分野でした。ただ米国からきた著名な研究者があまりにself conciousでひどく浮いていたのが気になりました。
わたくしは門外漢的に座っていたけれどもでももっと中に入っていきたくなりました。30代だったら文句なくライフワークにしようかと真面目に思ったかもしれません。それからagingもageingも同じことです。米国系はaging英国系はageingを使っていますね。俗な言葉でもあるので統一は難しいらしい。

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