サルコペニア症(加齢性筋肉減弱症または筋肉減少症, sarcopenia)について

このあいだのロンドンの会で発表を聞いていると、健康なつまりヘルシーな老化という言葉が何度も聞こえました。ヘルシーとあんまりいうと病院にも行きにくくなりますが、でも気分はわかります。
体がちゃんと動いて頭脳もしっかりしている。こういう老化なら90才も100才も万歳だというのでしょう。
それで脳の方はアルツハイマー病と体のほうはこのサルコペニア症なる筋肉の減少が代表として大きな関心がむけられています。でも老化にともなってなる病気は沢山あるので、それらを全部リストしてもまだまだ単なる氷山の一角にすぎないと、発表者はいうのです。
はっきりしていることは、高齢の人達が大挙してつまり人口の1/3とか1/4が65才に以上になる社会は未曾有のものであるのです。日本や北欧がその先端を行っているのです。そのような社会で90才や100才の世代で頻発する病気などはまさに未知ななものが色々でてくるのでしょうか。
今から用心するのができそうなかたは、70代でもしっかり筋肉を維持することです。体重が増えないから肥満について安心しても、筋肉が脂肪に置きかわっているのかもしれません。筋肉がよわくなれば動けません。筋量をはかるのは案外簡単でふくらはぎなんかの周囲長をはかるらしいのでネットで調べるといいでしょう。
長寿を人に迷惑をかけずに生き抜くには筋肉がないといけません、これには同意せざるをえないのです。
老年のヒロインとして褒めそやされたのは、72才でフルマラソンが3時間を切ったとかいう女性でした。
何日か前に、ちょっと書いたように老年者は10日間ベッドに寝るだけで筋肉を1.5キロ以上も失って、その後もうなかなか戻りにくいとのことでした。
それでこのサルコペニア症なる筋肉減少は老年になれば正常だけれども、しかし体が動かなくなる原因が筋肉の減衰にあるのですから、高齢になればなるほど最大の関心をはらわなければいけないのだといわれればこれも同意せざるをえません。
筋肉にもやはり幹細胞というのがあって老年になるとその数が減りまた劣化するという報告を聞きました。成長ホルモンのようなものを投与すれば、というのとiPS細胞のようなものを使って再生させるとか、というのと,希望的なはなしがありました。わたくしはまだ筋肉が残っているので自分の個人的関心事ではありませんが、研究としては興味深く聞けました。
老年者の筋肉の幹細胞はたしかに非常に興味深いな、と正直思いました。どこがどう若者とちがうのか。
PubMedで文献検索すると、サルコペニアは文献数は千以下でしたが、筋肉の幹細胞で検索すると1万6千もありました。
老年科学はまだまだ地味な分野とわかります。

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