米国の細胞生物学会がことし50周年なのだそうです。それを記念するために機関誌のMolecular Biology of the Cellで特集号をつくりたい、ついてはそれにエッセーを書いてくれませんか、こんな依頼がこのあいだ来ました。知っている米国の友人達のなかで書くのも楽しそうだし、その気になれば一日か二日で書けそうな分量なので,書きますと約束しました。
ただ、期待されているエッセーの内容がこれからの50年間で細胞生物はどうなるのだろうということで、未来予測で、これはそう容易にかけるものでもありません。
ただわたくしも50年という時間、すこし知っています。
前にも書きましたが、わたくしことし高校をでてから50年経ちました。同窓会がこの9月に東京であります。このあいだ、通知がありました。卒後亡くなった人達が31人記してありました。400人中なので、8%程度です。ここまでの50年からならそういうものかもしれません。でも次の50年ではたぶんだれも残ってないでしょう。
研究室に入ってデータというものを生みだしてから、47年たちました。まだ50年は経っていません。でも現場での研究能力はいまでも退歩せずに、どこかでは上昇中のもあるとおもいます。
1960年、分子生物学は黎明期を迎えたばかりでした。ですからわたくしなどは分子生物学の発展の期間ずっと寄り添うようにしてやってきたなあと思うところがあります。
この長い時間を考えると、50年後を想像、予測するのは途方もなく難しいようにも思えます。
でもなんとなく予測出来るような気もするのです。つまり、この50年間、あまり進歩してない部分もあるのですね。
そういうところに全部とはいわぬまでもこれから日が当たるに違いありません。
これまであまり生命科学をしてこなかったアラブやアフリカ大陸や南アメリカでの研究も大発展するかもしれません。
日本の生命科学の50年後を予測するのはむずかしいし、はっきり言ってしたくありません。理由は楽観的なことが書きにくいのです。