米国からカナダを代表する研究者に、素晴らしい講演、たぐいまれな満足感、日本はこういう会にこそ

もう日本は日曜の朝の9時ですが、こちらは土曜の午後5時です。
今回のこの酵母遺伝分子生物学という会合はこのUBC大学で研究室をもつPhil Hieterさんがオーガナイザーでした。かれとも本当に昔から顔見知りです。使った生き物はちょっと違ったとはいえ同じ遺伝子になんどかぶつかってきましたがいつも平和に共存共栄出来たのはよかったでした。紳士ですがやるべきことはちゃんとやるというタイプのひとです。米国のボルチモアからここカナダに来てもうカナダを代表する研究者です。
わたくしも経験があるから分かるのですが、オーガナイザーは非常に気持ちがくたびれるものです。この会合もあしたまでです。

さっきJack Szostakさんの講演が終わりました。素晴らしい講演でした。穏やかで真摯な人柄と学問を徹底的に究めようとする態度が渾然となった、ほんとに聞き終わったときに「いやー満足したなあ」と言える講演でした。
やはりノーベル賞というのはいいものでこうやって毎年こういう雰囲気を漂わす研究者が増えていくのはとてもいいことです。比較はあんまり良くないのですが、非常においしい晩ご飯を食べた後のなんともいえないご馳走満腹感的な感がありました。
わたくしも短時間紹介の時間をいただいてSzostakさんについて語りました。
後で何人ものひとにとても良かったといってもらえました。
嬉しいことです。

ちょっと部屋で休んで7時過ぎからのバンケットにいきます。海沿いで野外でやるのでジャケットをきてくるようにという連絡がありました。バンケットですから一番の交流が出来るのですが、日本からは若い人はある程度いますが、現役バリバリはほんとに少ないです。しかたないのかもしれません。国際的(グローバルといいません)な日本の存在感の低下はこういうところでもうずいぶん前から広範に起きているのです。人材の育成といいますが、論文書ける研究者を育てればいいだけではありません。存在感がある研究者を沢山つくらない。
まだそういうことになると東アジアの存在感は非常に希薄ですね。
基礎科学の分野だからだとおもいます。応用面ではiPS細胞をはじめさぞ日本の人材育成も強いのでしょう。そうでなければお金をいっときのちょっとした流行に使ってしまうことになります。

でも、こういう会はノーベル賞の受賞者が三人もきているのですから、しかも会期中ほとんどいるのですから、話そうと思えばいくらでも個人的にしゃべれるので、若者を派遣するのに最高です。もちろん中堅どころも「学ぶ気」があれば、いい経験のはずです。
基礎科学での長期にわたる国際交流の軽視はそのうちとんでもないしっぺ返しが日本を見舞うでしょう。基礎科学の中でも激しい競争があるのに、この会合などはまるで別天地のように人々は善意でなごやかです。

わたくしも明日帰国です。時差の関係はありますが日本には2日に着くのだと思います。

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