機内で新聞を読みました。産経新聞です。ネットでは記事をよく見ますが新聞として買って読んだ記憶は最近ありません。ネットに出ている記事の多くは政治記事が目立って、強い民主批判、右傾的なというか見かけ国粋的ものが多いのですが、こうやって新聞全体をよむと全体的に庶民的というのか緩和されます。また書評や評論など書き手はバラエティがあります。最近亡くなった森毅元京大教授ですが、ドイツ文学者の池内氏の書いたものは読ませて、わたくしもすこし知っている森先生(といいたいです)が目の前に現れて来る感じでした。わたくしは森先生が亡くなったことへのありきたりな記事などみてなんとなく悲しくて、このブログでも触れる気になりませんでした。でもこの池内氏のは森先生の真骨頂が出ていました。深い教養人でした。存在感は風貌からも分かるようにそのうえ、しゃべりの独特さで、抜群でした。森先生がいるとどんな会合でも森先生が居るという、雰囲気になるのでした。わたくしも何かの座談会でご一緒したことあります。神経のとても細やかなかたでした。晩年、大やけどをされたと聞いて、つらく感じていました。
そのあとで週刊朝日を読みました。珍しいことです。新聞も週刊誌も読むなんて。機内ではたいてい仕事をするのですが、今回は一日おいて沖縄なので、ここらで気を抜く時間を作らないと持ちませんよ,という体の要求から来る、ひまつぶしです。
記事はこの号はあまり面白くない。政治系や社会系のは最初の5行で読むのをやめました。でも普通系というのか、伊藤蘭さんと林真理子氏の対談記事は、このかつてアイドルでいまは女優さんの人柄が濃くでて面白かった。わたくしはまったくの芸能界音痴ですからこの人が水谷豊の奥さんということすら知りませんでした(たぶん忘れたのでしょう)。でもいまもきれいでなおかつ55才とわかり、ふーん、と思いました。なにかの犯罪映画かその傾向の番組でこのひとがやっていた演技がたぶん本人の意図してない(たぶん)陰と深みを示しているのを感じました。人気はその辺にあるのでしょうね。わたくしはキャンディーズファンになるほど若くなかったのですが、でもこの三人がいまでも仲良くしていると聞くとかつてのファン(たぶん圧倒的に男性)は幸せだろうなとおもいます。30年前ですが、ある時代の堅い人たちが作ったアイドル、きちんと時代を反映していまもきちんと生きている印象でした。
それと中島京子氏、このあいだの直木賞受賞作家ですね、書評が面白かった。翻訳家の鴻巣さんというかたの書評は秀逸で、買って読みたくなりました。そのうち機会があったらぜひ読みたい。この女中さんものだけでなく、昔日本を旅行した英国女性に同伴した日本男性から見たこの英国女性評をぜひとも読みたいと思いました。
それと経済学者の神野氏へのインタビュー記事。わたくしが最近感じていたいろいろな経済政策のわけのわからなさとか財務省といまの総理の関わりとか、このかたの解釈でも見るとよく分かります。信じる必要はないとおもったのですが、ともあれ一つの筋の通った説明です。わたくしのような研究稼業にとってはもっとも参考になる記事でした。この記事を書いた能力ある記者(森下氏と署名がありました)と神野氏の包み隠さない(ように見える)タイムリーな説明に感謝したいと思います。
哲学者の山折氏の書籍にまつわるみじかいエッセー、とても面白い。読んでいるうちになんだか真に迫ってきました。怖いはなしです。山折氏の紹介に1931年生まれとありますので、ちょっとホッとしました。溜まった本はほんとに怖いです。
最後はご存じ嵐山光三郎氏のコンセント抜いたかです。わたくしがたまに週刊朝日を買うのはこれを読みたいからです。今回のはお寿司のはなしでした。最初にカワハギのがいかにおいしいか、ということから始め世界の寿司を論じ最後のいまはまっている釣り上げてその場で食べる寿司の話で、読ませます。わたくしがこの方を非常にいいと思うのは、遊び心の徹底でして、男なら誰にでもあるどこかにふらっと出かけてなんか面白いことをやりたいという放浪欲を刺激するのですね。ところどころで官能的になるのがリズム的にもおもしろい。わたくしは寿司を食べるのを一時かなりセーブしていました。あのしゃりですね、お米は純粋に近いデンプンですから一人前を短時間で食べると血糖値のあがりがハンパでないことがわたくしの場合自分で測って分かったからでした。いっとき血糖値を食後に測っている時期があって、寿司のあとが一番激しいことに気がついたのでした。たぶん短時間でどんどん純米を食べるからでしょう。寿司を一つずつ食べる時間間隔はかなり短いのでしかたないのでしょう。わたくしの食事のしかたはいまはお米ならなるべく最後に食べるようにしていますので寿司をたべるのには意を決する必要があります。
嵐山氏の蘊蓄の文章をよんでいるうちに氏の血糖値は大丈夫かな、と心配になりました。「血がぐつぐつと沸騰した」、と本人も書いています。よけいなことですが。
成田では荷物をいっぺん引き取らねばなりません。それから国内便で伊丹まで。出発時はそのまま預けたままでいけるのに、帰りは自分でスーツケースを機内に無理矢理持ち込めば,引き取る手間は無いのでしょうが、でもどちらをとっても面倒です。やれやれです。自宅は遠いです。
これ機内で書いていま投稿しているのですが、これ書いているうちに宅急便で送ろうと思いつきました。佐川急便で明日着くとかで1700円でした。メープルシロップ、事故の時は文句いわないという一札書いて送りました。飛行機に乗るときにトラブルになって困ると思ったのです。
荷物検査でお兄ちゃんに聞いたら、栓を開けてなければ、国内線なら飛行機に持ち込めるとのことでした。金属製の缶なのでたぶん大丈夫でしょう。