健康被害について

京大のラボもほぼ閉じる段階となりました。仕事の大半は機器の撤去、運搬準備などなど、実に沢山の作業がはいります。それにみなさんわたくしも含めて沖縄や他のところへ4月からいきますので、個人的な準備もいそがしい。あと10日なので、昔話など書いてみたいとじつは計画していたのですが、地震、津波、原発ですっ飛んでしまいました。

やはり昔話よりも、目の前のことが気になります。
生命科学関係者で論陣をはってくれている人たちがいるといいのですが、あまりいないみたいので、老骨にむち打って、いわねばならぬと信じていることは言わねばなりません。
特に危ないことへの警告は、たとえそれが誤っていたことが将来判明しても、決して悪くないというのがわたくしの信条でもあります。
まず原発事故による健康被害ですが、これについての経験知は大量にあるようですが、実はかなりとぼしいというべきだとおもいます。ですから、スリーマイルやチェルノブイリだけの経験だけでものを断定的にいうのは危ない。広島、長崎の原爆被害ともまったく異なることを注意する必要があります。
健康被害についても、被害がでるのが、どのような時間のスケールのものであるか、注意して聞く必要があります。
日や週や場合によっては年の場合で安全と主張されていても、その安全性が数十年の時間規模で安全であるかどうか、知る必要があります。がんの大半は非常にながい時間経過ででてくるものです。
すべてのがんはDNAの損傷から起きます。染色体上でおきた損傷はその体細胞が存続するかぎり,体内で存在します。放射能がDNAに損傷を与えることは誰でも知っています。しかも極めて微弱でも一個の細胞に損傷を与えうるものです。しかし、傷があるからといってかならずしも、がんになるわけではありません。単一の細胞での損傷が、がんを発生するかどうか分かってるわけではありません。数日前に触れたとおり長い月日が、つまり場合によっては数十年の月日がかかるのです。体内にとどまる放射性物質はそれがDNA損傷を与える可能性があり、ごく少量でも注意する必要があります。
チェルノブイリでもまだ25年です。これからも予想外のことが起きるのか調査や治療は続行中です。
微量の放射能を有する食べ物を食べるかそれともたべないか、安全安全という情報が多いですが、そんなこと長期間について言えるはずがないと思います。短い期間だけなら食べてもたしかに大丈夫でしょう。でも長い期間ならどうでしょう。わたくしは出来たら口に入れたくないです。老い先短いとはいえ。先の非常に長い、孫だったらなるべく食べないでほしいとおもいます。
じつはこういう考えは多くの日本人の考え方に近いとおもいます。そういう意味でこれまでの原子力教育は正しかったのでしょう。いま氾濫する安全、安全、というかけ声には充分注意したほうがいいと思います。

米英仏三国がリビアカダフィ政権がわを爆撃したとの報道がありました。
非常に重要な展開です。イタリアはどういう意見なのでしょう。

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