とうとうきょうが機器の沖縄への引っ越しの日です。
ラボのわかものたちの大変な下準備と努力でそれと業者さんとのスムースなチームワークでなにごともなく終了しました。28日に沖縄に着くのでこんどはまた向こうでの作業が始まります。
経費的にお相当なものですが、やはり精密機器の取り外し、と向こうでの再設置これが非常に大変でした。それに沖縄は遠い。
あしたから、というか今日からもうですが、残ったいろいろなものを形見分けではありませんが、持っていってもらいます。そのままほっておくと産業廃棄物になってしまうので、どれも愛情をもってまた使用してもらって、あらたな生命を吹き込んでもらいたいものです。
しかしとうとうここで隠居というかまだ使用していたのですがもうあまりに古く見えるし、40年もたったので、休んでもらっていいじゃないか、というものもあってこれはわたくしが引き取りました。
一つはだるま型の遠心機です。京大に来てたぶん最初に買ったもので、たぶん当時の値段で10万円くらいだったのでは。大腸菌のような菌体を培養液から遠心分離するもので、床に置いて使用していました。
ほぼ毎日のように、大腸菌から分裂酵母菌にかわりましたが、40年間床の上で回り続けました。いったい何人の学生、大学院生や研究員がここでしゃがんで遠心をしたでしょう。
時には理不尽なボスを恨んで涙を流したでしょう。時にはいい結果がでるように祈るような気分だったでしょう。早く遠心機を止めようと思って、安全装置がないので蓋を開けて手で止めてビールを飲みに走った若者もいたでしょう。そういうすべての歴史がこのだるま型の遠心機にあったのです。
この研究室の40年の歴史でずっと現役のまま終えた、この一年間2500円で使用した遠心機はまさにわたくしの研究生活そのものだと密かに思っていたのです。運良く、廃棄されずにこの時までこれたのです。もうほんとに見た目によれよれで、ふたもしまらなくなることがあるし、うっかりすると感電するし、でも他にはない便利なやつだったので現役でした。
わたくしより一歩先に退役するこのだるま型遠心機はわたくしが作りたいと願っている、研究室のミニ記念室のご本体になる予定です。
これを見たさに遠路から遊びに来てくれるかつてのラボメンバーもいるかもしれません。
あと、2,3あるのですが、わたくしには価値があっても他の人たちには無価値なものです。みな40年の時代物です。