平野進一郎(チェルノブイリ子ども基金)さんというかたが、http://japanese.ruvr.ru/2011/03/26/48014401.htmlというロシアの声というサイトで以下のような報告をしています。サイトをお知らせするだけでもいいか、と思ったのですが,短文のなかに適確に最悪のなかの最悪のシナリオが説明されているとおもわれますので、以下にコピーしておきます。
印象的な一節は、「かつてソ連のゴルバチョフ書記長は、チェルノブイリ事故について「小さな核戦争だった」と語りました」というところです。
3月26日の記事です。最新の記事です。
「ロシアの声」の元アナウンサー兼翻訳員で「科学の時間」を担当していた平野進一郎氏に、福島第一原発事故に関連して、意見をお聞きした。
平野氏は、学生時代から「チェルノブイリ子供」基金のボランティアとして積極的に活動を続け、京都大学原子炉実験所原子力安全研究グループの依頼により、ソ連共産党中央委員会政治局チェルノブイリ原発事故対策特別作業班議事録を翻訳している。
3月26日の放送から、内容を抜粋して以下お伝えする。
①.福島第1原発事故の現状について
今回のような地震と津波の被害による原発事故は、「原発震災」と呼ばれ、かねて危惧されてきたことで、それが今回現実のものとなってしまいました。 決して、突然「想定外」のことが起きたという訳ではないことを改めて指摘しておきたいと思います。 事態は、今も刻々と変化しており、今の段階で断定的なことはまだ何も言えない状況です。 また、情報が限られており、知り合いの専門家たちも判断に苦慮しているところですが、分かる範囲内でお話しておきたいと思います。
現在の状況は極めて深刻で、最終的にどのような形で終息するのか専門家にも全く分からず、依然として予断を許さない状況です。 特に複数の原子炉が同時に危機的状況を迎えるという未知の領域に現場は取り組んでいます。 これらのうち1つの原子炉、あるいは1つの使用済み核燃料プールであっても、事態がさらに深刻化した場合、人が近づくことさえ許されない放射線が放出されることになり、隣接する他の原子炉に対しても手を打つことが困難となり、全ての原子炉が核燃料の発する熱によって破壊される危険性があります。 その際、高温の融けた塊が地下に達して地下水に触れて大爆発を起こし、原発内の全ての核物質が外部に放出されて破局的事態を迎えるという、いわゆる「チャイナシンドローム」が起きてしまう可能性もない訳ではありません。 その場合、東京を含めて日本の多くの地域に人が住めなくなってしまう可能性が考えられています。
そのような最悪中の最悪の事態に至らずとも、原子炉と使用済み核燃料プールの冷却を安定化し、さらにチェルノブイリ4号炉の石棺のような形で壊れた原子炉建屋(energoblok)を覆い、放射能が外部に放出される状況を終わらせない限り、「事故」は終息せず、放射能汚染が拡大し続けることになります。
さらに複数の電源、冷却システムを確保し、原子炉を安全といえるレベルにまでもって行くには数ヶ月、あるいは年単位の時間を要し、それまでの間、緊迫した危険な状況が続くものと思われます。
かつてソ連のゴルバチョフ書記長は、チェルノブイリ事故について「小さな核戦争だった」と語りましたが、これから当面福島の現場でも「戦争状態」が続くことになります。 公式には今回の事故の評価レベルは、アメリカのスリーマイル島原発事故と同じレベルとされていますが、専門家たちは、チェルノブイリのレベルにまでは達していないものの、スリーマイルのレベルははるかに超えてしまっていると見ています。 そして、状況は今も現在進行中であり、いくつかのデータから見るとチェルノブイリの状況に近づきつつあるとも言えます。
ともかくも、状況は今も危機的なものであり、現場で今も苦闘している関係者たちの必死の取り組みが功を奏して、何とか今の状況程度で事態が食い止められるよう、文字通り今は祈るしかありません。
以下は柳田の記述です。
ここまで読まれた読者のかたはどう思われたでしょう。
あり得ない、と思われたかたも多数おられるでしょう。
わたくしもそう思いたいのです。
ただ、福島原発炉のなかにある核燃料は、広島原爆で使用した核燃料の千倍あるといわれます。
ですから、もしももしも制御不能になった核燃料が暴走する事態になれば、ありえないことがありえることになるという、説明なのです。いま原子炉におられる関係者と作業する人たちの努力を祈るような気持ちで見つめている平野さんの気持ちはわたくしも深く共有できます。