わたくしは怒っている

風邪をひいてしまって熱がでています。あしたから英国の寒いところへいくのでちょっとつらいな、と思いだしています。

わたくしは日本の放射線生物学者というかDNA損傷修復に関わる研究者に対して怒っています。
なぜなら、いまこそかれらは声を出さねばならないからです。しかし誰も声をだしません。
健康に直ちには影響がないとかいう、空恐ろしいほどの非科学的な説明が日本中に横行しています。
この放射線による人体の影響の根本は個人差が激しいと言うことです。それをまず知る必要があります。もうひとつは影響がでるのには時間がかかるのです、この点は今日はふれません。
いま世間に出まわっている情報は10人のうちの9人には適用されるかもしれないが、残り1人にはまったく適用されないかもしれない類の情報なのです。
分かりやすいたとえで言うと、
アルコールの一気のみをすると死んでしまう人が日本人の場合数十人にひとりいます。今では多くの人が知っていますが、でもこれまで多数の人々が一気のみで死んでいるのです。
おそばを食べると瀕死の状態になる人たちもいます、関係の無い人には笑い話でも本人には深刻です。実際、おそばを食べて死んだ人は新聞には出ませんが、いるのです。世の中には死んだ理由がよく分からないのは沢山あるのです。アスベストと中皮腫の関係も日本で完全に認められるようになったのは、ごく最近です。でも50年前からごく一部では知られていたのです。
いまや国民病化していますが花粉アレルギーも昔はごく少数でした。もしも花粉アレルギーの人々が放射線について、他の人より100倍感度が高く,致死量も百分の一としたらどうでしょうか。いまのような放射能汚染でもパニックになるでしょう。日本人はまさに二分されるでしょう。
放射能はDNAに傷を与えますがでも体内には修復能があるので傷を治します。直せないほどひどくなると自死する細胞もあって、極力損傷は残らないように体内能力が発揮されるのです。素晴らしいしくみです。
ヒトの遺伝子は3万とか言われますが、うちすくなくとも100個の遺伝子がDNA修復に必要なのです。つまり修復能力に何らかの欠陥を有する人々はかなり高い頻度で存在すると考えていいのです。実際重篤な病気がかなり知られています。日光にも当たれません。でも大抵の人は日光程度なら大丈夫です。しかしX線検査を多数回するとかCTスキャンを何度もするとか、その危険性はずいぶん昔から知られています。その検査が原因でがんになっても誰が証明してくれるでしょう。
しかし高い頻度とはいっても人口の中で一つ一つの遺伝子で欠陥を有するのは100人にひとりとかもっと少なく1万人にひとりかもしれません。しかし、関わる遺伝子が100もあれば、人口の1%以上はなんらかのDNA損傷欠損があってもおかしくはないでしょう。もしかしたらはるかに高い頻度であるかもしれません。
放射能ヨウ素で幼児が被爆すると甲状腺がんになるというのは、このような少数派の人々の話ではありません。「だれもが」です。今の日本の政府公報が言う話はすべて放射能修復にいっさい欠陥がない人々には当てはまるかもしれません、しかし感受性のひとには当てはまらないでしょう。
問題は、この少数派のひとびとアルコールの飲めない人たち、もしくはおそばを食べれない人たちのあいだくらいにある頻度の人々は、どうするのかです。あなたかもしれないし、わたくしかもしれません。
このようなことを知ってもは恐怖に思わないような社会教育をずっと日本はしてきました。というか今もNHK以下大新聞総出でやっている感があります。

障害者教育に熱心になっても、だれだかわからない放射能に超感受性の少数者のことを考える事をここに到ってもしないのです。自分かもしれないのに。
そのことを一番よく知っていて,指摘できる研究者が黙っているのでわたくしは怒っているのです。

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