すこし前ですが、琉球大学第二内科内分泌代謝・血液・膠原病講座の教授であられる益崎先生といちどゆっくりお話が出来る機会がありました。
糖尿病を初めとするメタボリックな病気な専門家であられますが、沖縄での経験もふまえたいろいろなご意見をお聞きして実に勉強になりました。益崎先生はもちろん診療もやられていますからメタボリックなシンドロームについて広い学識をお持ちですが、興味の中心のひとつが食生活の行動や嗜好がどのような病と結びつくかにあるようでした。食への嗜好が多くの病気の原因をつくり、いっぽうで健康長寿の鍵にもなる、という考えです。
非常に分かりやすい例として聞いたのは、人工甘味料のなかには習慣的に使っていると、高脂肪食への嗜好が非常に高まる可能性があるというものです。
つまり折角ダイエットなんとかいうドリンクを飲んでも、それが高脂肪食への嗜好を脳を通じて刺激が高まるのなら、まったく逆の結果になりやすいというものです。
前に東大の門脇先生にも糖尿病のもんだいは脳の問題なのだと、お聞きしたことがあります。つまりやはり食の嗜好は脳から来る以上どうしても食生活の改善も結局は脳と深く結びつくに違いありません。
益崎先生からは小胞体ストレスという細胞内でのストレスの出来事が沢山のメタボリックな疾病と結びつくのだということをお聞きしました。このあたりまで来ると、わたくしなども関われる領域で、脳に行くのは無理としても、細胞がある種の栄養への「嗜好」を示すというのは、核クロマチンレベルではありえることです。それが小胞体ストレスとして恒常的にでてくるというしくみもわたくしにとって決して遠い話ではないのです。
沖縄県の成人のメタボリックシンドロームの割合(BM25以上)男女ともに全国一位です。男性は60%です。沖縄県民は忘れてはいけないことです。
糖尿病の初診時にすでに失明、血液透析の導入の症例もすくなくないと聞きました。
益崎先生に聞きますと、沖縄県の糖尿病、肥満症の基盤要因としては、
夜型生活へのシフト
高度の自動車社会
小児肥満の急増
アメリ型の食(ファストフード、高脂肪食、肉食嗜好、野菜不足、人工甘味料過剰)
などがあるということです。
沖縄だけの問題ではなく、日本全国にあるのでしょう。沖縄県は健康長寿でもメタボ病でもともにいまや先進県なのでしょう。