世界でいちばん小さい女性という記事をみました。
18才で伸長が60センチ台というのですから、たしかに驚きです。生後数ヶ月くらいの大きさになるのでしょうか。ニコニコした笑顔の女性でしたが、どのような要因でそうなったのか、成長ホルモン以外にどのような身長決定因子ががあるのか、環境要因でないとしたら、わたくしにはまったくわかりません。一つ一つの細胞自体が小さくなっているという類の想像は自分の近傍の研究成果からの発想です。
それに関連しているわけではありませんが、日本人の身長もとうとう伸びるのを止めてしまったようです。もう10年くらい日本人の身長はまったく伸びてないのだそうです。それどころか、小さくなる傾向すらあるのだそうです。妊娠お母さんの節食も影響があるのだそうです。それは分かります。
日本人の寿命が長いのも、節食というか極端な高カロリー食を取らないことから来ているとすると、寿命の長さは、身長増加の停止とからんで考えても致し方ないし、当然のことなのかもしれません。身長の大きいほうと寿命の長さのどちらを取るかと聞かれたら、どうでしょう、だれでも寿命の長さの方をとるでしょう。
連想ゲームのようですが、老化遺伝子が最近論文発表のレベルですが、大きなどんでん返しがあったことも書いておきましょうか。
昨日にラボのRくんが先生これがでていますと、12月2日付けのサイエンスにでたAging Genes老化遺伝子(複数)、という記者の書いた、読み物のPDFファイルを送ってくれました。
さっきまで読んでいました。
9月にNatureにでた、これまでかなり信じられていた老化遺伝子のSirtuinの寿命の伸びへの効果はハエと線虫ではまったく出ないという逆転結果の論文のインサイドストーリーというかインパクトも含めて書いています。関連研究者の発言も興味深い。今井真一郎さんはほ乳類では、sirtuinの一つの遺伝子とカロリー制限とは関係がありそうだ、と言っています。ハエと線虫では振り出しに戻ったというのが正しいのでしょうか。
それぞれの研究者がみなかれらのできる範囲で実験をやって、かれらのラボでは報告通りの結果がでたのは間違いないのでしょう。つまり老化実験というのはそのように条件が変わると結果が変わりやすいのでしょう。
しかし、驚くべきことは、例の赤ワインのレスベラトロールの効果もぜんぜん無いという話しなのです。もともと人間ではレスベラトロールの寿命効果は確立した知識ではないにしても、ほ乳類以下どんな生物でも延命というか寿命増加効果はないというのです。
しかしDavid Sinclairさんという研究者はこのレスベラトロールの効果を見つけた人ですが、自分で会社も作ったのですが、その会社を巨大薬品会社が7億ドルで買収したのだそうです。日本円でいくらになるかは読者が計算して欲しいのですが、米国とは研究をする若者が超大金持ちになれるという点で、途方もない国なのだな、と感嘆しました。
渦中の人のGuaranteさんで、この分野の中心人物ですが、もちろん意気軒昂です。若いときに学会でよく見かけていましたが、わたくしがその会にいかなくなって会うことも無くなりました。写真が出ていますが、ありゃ、髪の毛がとおもわず絶句してしまいました。余計なことですが。
色んな意味で、老化遺伝子、寿命の研究は戦国時代というか群雄割拠の時代になるのでしょうか。
わたくしは八百よろずの神の国の人間なので、あれもこれもになっています。やはり割拠に参加するには一つのスローガンを持たないといけないのでしょう。たぶん。