日本再発見への途上

欧州はいま色んな意味で苦境にありますが、それでもアジア特に東アジアとは様相が非常にことなります。どう異なるのか、なんども戦争しただけでなく、宗教的、文化的、経済的に欧州はおたがいにかなりよく分かっているのです。それに対して東アジアは人々が互いに知っている度合いは欧州と較べるとずっと少ない。ひとたび事がおきれば東アジアの危機はどんづまりまでいってしまう可能性がある。
欧州では絶え間なく危機がおきてもなんとかそれをローカルに押し込めることができるのです。あのような大戦はもう二度としたくないこりごりという気持ちが強烈な抑止力となっています。

東アジアはさらに米国のプレゼンスが強いので、アジアの問題がすぐに米国がフルに入ってくる問題になってしまう。
案外いちばんの問題は日本かもしれません。日本が発火点となる政治的な出来事が近い将来に起きそうな気がします。
日本人の多くははそれほど分かってもいないのにもう米国を「卒業」したとおもっています。学校は九九ができなくても分数ができなくても卒業できますが、同じような意味で、日本人は米国の事をそれほど分からないでももういいや、卒業したとおもっているのです。米国に憧れる日本人が激減しているのもその証拠です。米国で住んで生活したい、というのがいちばんの憧れというか願いという日本の若者に最近ほとんど会いません。米国の沢山のよい点を身に付ける前に米国を卒業したかのような社会になったのが今の日本でしょうか。米国帰りの日本人エリートは沢山いますが、かれらの言動の説得力が非常に低下しているのも事実です。たとえば鳩山元首相は米国で博士号まで取得したはずなのに、日米関係を悪化したと記憶されています。
いまの日本は中学的に米国を卒業して、高校的に中国とインドを勉強せねばならないと思う人達が増えているかもしれません。まあ高校も義務教育に近くなっています。ところが、韓国も含めてアジアの諸国ですがお互いに理解している度合いというか知識体験の量が米国と較べて桁違いにすくない事に気がつきます。でも経済のスピードは速くグローバル化はせっかちですから、3年で中国を卒業しないといけないかのようなスピードで世界が動いているかのような錯覚を感じます。その東アジアの真ん中に北朝鮮という軍事王朝があって日本はこの軍事王朝に不用心な対応を続けているのです。なぜ金正日氏が亡くなられたときに、日本国首相が北朝鮮の国民の人々に弔意を示さないのか、北朝鮮の国民に対して元首が亡くなられたのだから、弔意を示してもなんらおかしな事はない、拉致事件に対して甘い態度を取ることになるとはまったく思いません。
話しがずれましたが、日本の東アジアでの政治的なずっこけ度は相当なものではないのか。中国にはいまの日本人は憧れも願いもほとんどなしなので、国交の根本が経済だけだったら短期間で卒業どころかお払い箱になる可能性すらあります。中国人は模倣の天才とインド人が言ってました。かつてはそれは日本人だったはずなのに。
それで、結局大学的には日本人は日本を勉強することになるのだと思うのです。日本再発見は、日本人が特急のスピードで米国と中国できたらインドも表層的に勉強して時間が来たら押し出されて卒業して、そのあとで始まるのでしょうか。

昔の日本人はほんとうにえらかった、憧憬と願いを込めて外国とつきあったことに気がつき、もういちど自分の足下を見ることになるのはいつになるのでしょう。
わたくしがこんな事を言わなくとも、数は少ないがでも相当数の日本人が日本再発見に向かっています。そういう日本人は強い日本人です。
アジアの事を知りたければ日本再発見を通じてからがいちばん価値が高いでしょう。日本は歴史的に孤立しているようで実は太古の昔から孤立したことなど一度もないことに気がつくでしょう。わたくしも結局そういうことがわかったのはずいぶん年をとってからです。
ギリシアやトルコやイスラエルを旅行して始めて奈良や飛鳥の時代が分かったのでした。
いまはアフリカを知って日本を知りたいと思っています。

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