台南への車中で考える 「追記」

朝10時台北駅発のHSR高速列車で台南に向かいました。台風がこちらに向かってくるのに,逆走という感じですが、予定ですので。
ずっとお世話してくれた秘書のFさんが宿泊所の前に急いで自転車でやって来て、雨はひどいがたぶん予定通りという連絡をしてくれました。それでいま、台南に向かう車中です。
切符をみると敬老と書いてあります。パスポートを送ったので、ちゃんと敬老割引の切符を買ってくれたのです。何も言わないのに黙ってしてくれるのです。このきめの細かさは台湾のもてなし特徴で、わずか2泊なのに台北の滞在はどこよりも濃密でした。それなのにぜんぜん疲れなかったのは、所長の Meng-Chao Yaoさんのさりげなくかつ完ぺきなもてなしのおかげでしょう。ほんとうにありがたいことです。
車中できょうの午後の講演の手直しをすこしして、このブログを書き出しています。ネットにつながってないので、あとで投稿します。台湾でもわたくしがブログを毎日書いているのは皆さんよく知っているようです。言いたいことをいいながら、よく続けていられるな、と言う人もいました。読めないものの、きわどいこともあることは知られているようです。
まあそれはそれとして、台湾にくると色々考えます。つまり相克する気持になります。中国であって,台湾であって、かつて米国を頼りにしニクソンに裏切られ、そして日本に統治されたこともあり、もっと昔は中国の一部と認識されながらも、オランダも、英国も列強が手をだし、そして多様なネーティブな台湾人も存在します。いろいろな要因があっていまの台湾があるのですね。
そのあたりをちょっと考えるとすぐ、相克的になってしまうのがどうもいけません。むしろ調和的に考えたい。この穏やかで心やさしく前向きな台湾文化には相克は似合わない。どうしても調和的に考えたい。そうすると台湾にある自然に目がむかいます。現代の台湾の自然は人口の手はたくさんくわえられているものの、でも古代から中世、近世と著しくは変わらなかった部分もあるでしょう。豊かな水とあたたかい自然は,米作には最高の環境でしょう。
いま新竹を過ぎたあたりですが、見渡すかぎりの水田です。びっしりとお米が育っています。ちょっと黄色みがかったところもあり、二毛作、もしかしたら三毛作もできるのかもしれません。おりおりに見える河は台風による雨の影響もあるでしょうが、水が豊富です。高山が背後にあります。フレームも露地栽培もさかんで、マンゴーらしき木もみえます。
そのあいだに工場もたくさんありますから、豊かなそして余裕のある台湾はこのあたりの景色をみれば歴然としています。
台湾の若者だって,思い切り大声を出して、政治活動もしてみたいでしょうが、実際しているのでしょうが、どうしても相克的、対立的になってしまいます。もしくは折々に日本の尖閣などの問題のように対外的抗議になってしまいます。
未来への展望がはっきりないからです。台湾は将来中国の一部になるのか、それだけは勘弁してほしい、と考える台湾人は多い。しかし、経済における2国の結びつきは極めて強い。関係を切ることは不可能。でも将来的には台湾人の中国駐在数はだんだん減ってきて、金融による関係がますます強くなって来るのでしょう。そして最後には金融すらも中国から縁切りされるかもしれない、そういう不安はあるでしょう。しょせん、人口比で50倍も違うのですから。対立路線も飲み込まれ路線も困る,ということにつきます。
けっきょく、同じ中国の言葉をつかいつつ、違った国としてやっていくのが一番だろう、こうなるのではないか。そういう国はたくさんあります。オーストリアとドイツ、カナダと米国、のように。
突然自分の意見を言いますが、わたくしは中国がなんと言おうと、違った国として中台は今後ずっとやっていく、これしかないと思います。これ以外の解決策はかならず血が流れる、とおもいます。台湾の多様性をまもるためにもそれしかないでしょう。
日本人も中台の両国がそうなっていくように、努力してなにも悪くは言われないはずです。日本にとっても流血がおきるような対立にならないようにするのが最善の策でしょう。もちろん台湾と中国が一国としてやっていくと決めるのなら、それはそれでしかたありませんが。
そう考えると、沖縄の今後も見えて来るような気がします。米国や自衛隊の基地が主たる役割のひとつという今の状況から平和の島、中台緊張が起きない、そして日中緊張が起きないための、役割を演じる方向に向かうのがベストに違いありません。それしかわたくしには沖縄のゴールは見えてきません。東アジア融和の象徴としての沖縄の役割はいろいろ今回、わたくしには現実的に見えてきました。

「追記」
着いてみたら、結局セミナー中止、大学が閉鎖ですからしかたありません。
それで呼んでくれたAさんやラボの人たちとお茶でおしゃべりをして過ごしました。わたくしは亜里山ウーロン茶を飲みました。
激しい雨で観光どころではなかったのでした。

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