「殺光小日本」のスローガンがとうとう出てきた北京での反日運動

朝日新聞の中国総局長がリポートしてきた記事は事態を理解するのに役立ちます。

まずこういう記述があります。
「15日、北京の日本大使館前に集まった中国の若者たちが掲げたスローガンは、目を覆いたくなるようなものばかりだった。例えば、「殺光小日本」。日本人を蔑称で呼んだうえで、それを皆殺しにしろという意味だ。まともではない。」

北京で日本の大使館の前でこのようなことが起きているのです。ここまで来ると,次は武力衝突かと(中日両サイドで)身がまえる状況になってきたとおもいます。中国人の従業員がほとんどの日本名のデパートでも、30億円ていどの略奪と破壊行為が行われているとも別な報道がありました。

総局長のリポートは続きます。
「中国(政府)は海洋監視船6隻を尖閣諸島周辺に派遣し、日本の領海に侵入させた。党機関紙・人民日報は「釣魚島の海域に到達し、権利を守り、法を執行した」と伝えた。中国中央テレビは監視船の乗組員が日本の領海にいた海上保安庁の巡視船に無線で「貴船は中国の主権を侵害している。活動をやめなければ、いかなる結果を招こうと、責任はそちらにある」と告げる映像を何度も流した。」

このような人民日報の報道は、宣戦布告の数歩前程度にまで達していると思うほうが常識的なのでしょう。白髪三千丈のような誇大な表現と思ったら、日本側はとんでもない誤りを犯すことになるのかもしれません。中国側は本気なのでしょう。

続いて、総局長の憂慮は以下に示された記述にもあらわれています、
「そうせざるを得ない事情が、中国側にはある。2年前の漁船衝突事故で、中国の官製メディアも商業主義に走る新興メディアも、海保の船艇に体当たりした漁船の船長が、あたかも被害者であり、英雄であるかのように報じた。それでいて、かつて尖閣諸島に日本人が暮らしていたことや、周辺海域に資源が豊富な可能性が浮上するまで中国が領有権を主張していなかったことは、中国でほとんど知られていない。」
「偏った教育や報道のツケが、いま中国側に回ってきている。民衆の怒りを制御できない当局は、デモ隊による暴力や略奪、焼き打ちを許した。そのうえ政府幹部が日本製品の不買運動に理解を示す発言をしたことで、ボイコットは広がる気配を見せている。」
 「中国の傅瑩外務次官は14日、省内で執務にあたっていたにもかかわらず、領海侵犯に抗議しようとした日本大使館の丹羽宇一郎大使からの面会の求めを断った。対話による解決を求めながら、官民一体でチキンゲームを仕掛けているかのようだ。」
 「中国メディアは15日、中国各地で火を噴いた反日デモについて、国営新華社通信が英字配信で発生を短く報じただけで、暴徒化したことには触れていない。こうしたことを繰り返していれば、いずれ中国は自分で自分の首を絞める。」

わたくしはこの報道は素晴らしいとおもう。中国人にもぜひ読んでほしい。親中国の日本人でもいまの事態をみれば中国は極めて危険な国家と誰もが思うようになるでしょう。

日本政府のこれまでのやりかたに問題は大ありだったかもしれないが、中国政府のやっていることは、桁違い、極端な冒険主義であり、これが進行すれば、とてつもなく大きな損失になる。これまで平穏でいた比較的良好の関係の日中関係が大きく破壊され、回復に極めて長期の期間がかかると思われます。
しかも中国政府自体がこの冒険主義をもてあそんでいるので、みかたによれば両国の断交とか武力衝突が起きるかもしれない、という脅迫を一部の真実性をもって示しだしています。

日本政府は、手にダイナマイトをもった冒険主義の中国側との関係をよほど慎重かつしかも断固とした態度で接していかねばならないと思うのです。

この一連の出来事はもちろん東京都知事の行動に相当な原因があることも忘れてはいけないのでしょう。
都知事は、中国にでかけて中国要人に対して氏の主張をぶつけることから始めるべきでした。それでこそ、真の国士になれたでしょう。いまの都知事のやりかたはなにか薄汚いのです。

脆弱な中国体制をなんとか安定化することにわたくしたち日本人も努力を傾けることこそが、日本にとって真の国益になるでしょう。
そのためには短期間での沸騰状態への変化をなんとしてでもくい止める必要があります。中国内部で自制が起きるように努力するのが現在日本のとりうる唯一の方策のようにも思えます。
力には力が最悪のコースと思うべきです。

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