K君が博士学位取得の謝恩会を関係者が新春に北大から来る機会にぜひやりたいとのこと。とても素晴らしいですね。わたくしは長いことそういうものに招待されたことがありません。
学位がとれて当たり前という気分の人達が多かったですからね。たとえパーティをやるにしても、わたくしを呼んでパーティなんてなんとうっとおしい、楽しくない、そんなふうに多数派の人には思われていたみたいですから、こういう少数派の人に呼ばれるのは嬉しいものです。
さて今日は山中伸弥さんの関係の講演会が京都駅の近くのホテルであったようです。
毎日のように新聞にでますから、わたくしが今さら触れるのはどうかとも思うのですが、こういう素晴らしい研究成果は何回論じても飽きないですからまあ許してもらいますか。
研究費の増額については、さいしょは3億円と聞こえてきたので、それは一桁か二桁少ないと思ったのですが、一桁上にいったので、とりあえずは行政サイドは最大限頑張っていただいたと外野席からですが見ています。
こんかいのこの山中さんの業績は本当にすばらしいので、かれを国民的ヒーローにする流れというか動きにわたくしはなんの躊躇もありません。ノーベル賞当確、わりあい早い時期にという類のこともそうではないですか、と無責任ですがいいたくなります。
米国では早くも山中さんと同時に今回発表した研究者(追随者のようにわたくしにはみえますが)を国のナショナルヒーローに仕立て上げつつある記事が大新聞で見ますので、要注意です。日本はなるべく早く国のヒーローであるという完全な証拠を山中さんに与えないといけないと思います。まだお若い山中さんには迷惑かもしれませんが。
今回のことでとてもすがすがしいのは、山中さんひとりが前面に出てほかの人達、とくに先生筋とか上司筋とか、研究費のパトロン筋とかがまわりからごちゃごちゃいっているように見えないことです。これはとても良いことです。
かつて日本が二回生命科学で金のなる木を育てられなかった経験があるといわれています。一つは、行政の動きも周りの動きも鈍くてみすみす米国にとられてしまったこと、もうひとつは先生というか上司というかそのあたりが本人を差し置いてやったので海外から見てまったく評価というか競争相手とみなされ無かったことでした。
今回は、教訓も生かされたようですし、山中さん自身のお人柄と経歴のかんけいで、彼の代わりにしゃしゃり出る人が居なかったのは本当にスッキリしていました。
日本の生命科学にとっても素晴らしい起爆剤というか、若い人達、特に学生さん達が山中さんの業績と世間の受け止め方を見て、わたくしもと思ってくれたらいいのですが。そういう点で、山中さんのプライシーもあるのでしょうが、幼少の頃からのことなど、ぜひ知りたいものです。
京大にとってもとんでもないほどのメリットでした。毎日のように京大と出ますから、京大関係者にとっては本当にありがたいことでしょう。
しかし、わたくしが考えるのは最初の仕事をなしとげた奈良先端大にいまもいて、そこで今回の研究成果をあげたらどうだったのでしょうか。
山中さんはもうひとつワンランク上の国家的ヒーローになったかもしれないな、惜しかったな、と思ったりしています。
湯川秀樹博士のノーベル賞業績は大阪大なしとげたのですが、なぜかそういうことはほとんど重視されないものです。
今回は知名度がはるかに低い奈良先端大でこの研究がもしもずっと行われていたら、山中さんの能力的すごさが最大限に理解されたかもしれません。
もちろん奈良先端大の関係者もかなり複雑な気持ちでいることは間違いありません。