民間からの研究資金 Research fund from private sector

民間からの研究資金、このこともう15年か20年くらい考えてます。わたくしのレベルでは、答えは出ました。でもそれはあんまりはっきり言うわけにはいかない。いってもしかたがないのです。しらけるだけですから。
でもこれは大切な問題です。
この問題に気がついたのは、わたくしの仲のよい研究上の外国人がどのようにして生計を立ててるかを観察すると、米英人の場合、おどろくほど、民間のお金で給料をもらいなおかつ研究費も民間という人達が多いという、事実からです。英国の友人の場合、税金で暮らしてる人を探すのは難しいくらいです。たぶんわたくしの分野と知り合いが偏ってるからだとおもいたいのですが。
ドイツ、フランス、スイス、イタリーこれらの国では日本と同じように、税金から直接もしくは間接的に給与も研究経費も大半が出てるようですが、米英だけは例外的に民間の寄付が強力に存在するのですね。
生命系研究者なら誰でも知っている、米国のハワードヒューズ財団、英国のCancer Research UK, Wellcome Trustはいわゆる寄付財団ですが、どれも両国の最強クラスの研究室を擁してますね。たいしたものです。
なぜこれが日本では難しいのか。税制だという人がいます。でもたぶん違うでしょう。
わたくしたちの研究にお金をだしたいという気運は個々の日本人のあいだではほとんど無いのですね。あるのは企業か企業系財団ですね。
なぜ無いのか。寄付を出したからといって、出した人達を満足させる、もしくは人々を救うような、実績が日本の科学者によってなされてないのですね。
我々の先達の野口英世博士にまったく申し訳ないのですが、現今の日本の生命科学者で日本国民が誇りに思うような人がいません。日本のいまの一般の国民からみたら、日本の生命科学者に貴重な浄財を寄付しようという意欲がわかないのですね。ただ寄付でなく、ベンチャーに投資する人達は増えてきました。これは、欲でやってるのでしょうから、別問題ですね。でも期待も同時にあるでしょうね。ただ、いろいろ見ると、大丈夫かなと思うベンチャーが多いですね。
これが歌舞伎、能、浄瑠璃、さらには相撲のようなものでこれは日本にしかないので、これら伝統的なものを民間もしくは国が支持しないと、消滅してしまう。そういう場合には、ちゃんと寄付が出ますから、日本国民はけっしてけちではありません、それどころか、寄付する価値のある生命科学者を探してる人たちだって沢山いるかもしれません。
癌をぜひ治して欲しい。病気をぜひ治して欲しい。でも日本の生命科学者がぼーっとして何もしなくても欧米の科学者が癌の究明から、治療法の開発まですべてやってくれるのではないか。
残念ながら、この一点に説得力のある反論できないのです。反論など必要なく、事実があれば、それが提示できれば、多くの個人は喜んで寄付してくれるでしょう。
英国では、宗教と科学の間で長年の争いがありました。つまり夫を失った妻が寄付する対象が教会か研究財団のどちらを選ぶかです。随分、前に教会の完敗と聞いてます。ですから、Cancer Research UKもその予算規模はまさに多数の多くの人の善意の寄付から成立してるのですね。つまり、本当に頼りされてるのです。英国の研究者は。わたくしも頼りにされる研究者になりたいものです。自国の人達から。
結局、この点で、日本の研究者はまだまだ何十年も場合によっては百年以上も頑張らなければ、我々を頼りにする自国民は出てこないのかもしれません。このことを考えると、ときおり憂鬱になるのです。でも、これにたいして、わたくしのレベルで、頑張っていきたいと思ってるのです。

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