サッカー、音楽、捏造問題 Soccer, my favorite music and the fraud problem

ブラジル戦、日本としては勝てなかったのですが、素晴らしい一戦でした。最初の10分起きられなくて見られなかったのですが、その間に加治のまぼろしのゴールがあったのですか。大黒、中村はもちろん、すべての日本選手が輝いてみえました。柳沢のひたむきさ。いいですね、彼こそ成功して欲しい。日本チーム、いつからこんなに強くなったのでしょう。大黒参入以来ですか。それと、中田の強い意志が試合全体を支配してましたね。世界一流の仲間入りはもうすぐというか、ギリシア戦とこの試合だけなら完全に一流です。やはり神様ジーコです。サッカーの世界が羨ましい。研究の世界にもこういう刺激がこころから欲しいです。口惜しいです。

koneckoさんから、音楽の趣味について聞かれました。
音楽のことは、文章に書かないのです。というか、書けないというのがより正確です。その理由は、他人が自分の音楽の趣味について書いたものを読んで感心したことがほとんどないからなのです。感心するのは吉田秀和氏だけです。ええと、植草甚一さんという人もいましたね。このひとのはいいですね。小林秀雄、大岡昇平、その他いろいろ、音楽本については読んでも途中で放り出します。自分の好みを押しつけられるように感じるのでしょう。このあたり、わたくしは異常体質かもしれません。だから、自分の音楽の趣味についても書きにくいのです。ただ、聞くのは好きですし、好みもはっきりあります。音楽の趣味を語ることのほうはもちろんありますが。でも聞き手が同好の士だとわかるときだけかな。音楽はどうも文章とはなじまない、つまり音楽をどう言葉で表現するのかよく分からないのです。それに他人がこれはいい、素晴らしいと書いてあってそれで聞いても、自分でいいと思わないことが非常に多いのですね。つまりあてにならないのですね。そのあたりがどうもやりにくい。それにわたくしは直接聞きに行くことがほとんどないリスナーなのです。ClassicとBritish Rockを愛好する、くらいにしておきます。

先週、雑誌編集の方がおいでになられたときに、阪大での捏造データによる論文の取り下げについても意見を聞かれました。その時、取り下げとはきわめて希な出来事ということはそれほど知られてないようだな、と感じました。この問題、うまく意見をいえたかどうか心許ない感じもありました。その後、考えることもあり、今の段階でのわたくしのこの問題についての意見は以下のようにまとめることが出来るかなと思えます。

1.今回の出来事は、なによりも真相を十分に明らかにすることに最大の意義がある。口頭発表や論文発表時に、学界的にも社会的にも反響が非常に大きかった。しかし、その成果発表が捏造データを元にしたものであり、著者全員により否定されたこと、また捏造データをつくった本人がそれを認めていること、などを考慮すると、生命科学の世界の歴史の中でも特筆されるべき出来事である。真相解明は社会的義務でありましょう。しかし、論文の取り下げ自体は、この全体の出来事の中の一幕でしかないとおもってます。
2.真相を徹底的に明らかにすること、がこのようなことを再発させない、ベストの方法と思われます。であるからして、どのようにして、真相を明らかにしうるかという方法論と、誰が真相究明の役割を担うのか、このあたりもはっきりする必要がある。
3.一罰百戒的な扱いはしてほしくない。処罰を目的にする真相究明はして欲しくない。それは、悪効果をもたらすだろう。今後、類似なことが起きても当事者が徹底的に否定したり、もしくは隠蔽をする可能性が高くなる。
4.捏造データをつくった、ご本人はまだ医学部の学部すら卒業していない未熟度を考慮すると、本人の処遇などを担当する当局は厳罰的態度で接してほしくない。ぜひとも更生を目指す処分をしてほしい。
5.論文の責任著者がなすべき義務は、何がどのように起きたのか、どうしてこのような捏造が起きたのか、外部に対して、詳しく真実を伝えることにある。いっぽうで、それが真実であることを判定する第三者(機関)もあって欲しい。また責任著者(corresponding author)の責任の範囲についても、きわめて正直に陳述してほしい。それが同様に再発防止にいちばん役立つであろう。責任著者の十分な説明が真に待たれます。撤回論文は2報あり、責任著者は複数になりますが。
6.この問題に対応している関係当局は、今回の出来事の詳細な真相解明は当事者もしくはその近傍のかたがたに任せるのでなく、学外者を主要メンバーとする委員会によって、十分な時間をかけて行ってほしい。これも、再発防止に役立つと信じます。一方で、最終決着がつくまでは何も報告しないというのではなく、途中経過については逐次明らかにした方がよいと思われます。そうでないと、不測の出来事が起きやすいと思われます。この問題についての社会の関心はきわめて高いがゆえに。
7.最後になりますが、学生が所属研究室に対して寄付金を提供していたという報道について、それが事実なら、このような学内慣行が全国的にどの程度あるのか文科省にでも調査して頂いたうえで、そのようなことは一般論として是か非か議論する必要があるでしょう。わたくしは、「非」の立場をとりたい。ただもっと大きい単位、大学、研究科レベルへの寄付なら理由次第で認めてよいと思う。ただ、所属研究室に対しては「非」の立場をとりたい。理由は指導者と学生との関係が寄付によって望ましくないものに変わりうるからです。またこのような寄付行為は全国的にも極めて珍しい出来事と思いたいのですが。

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