研究者が働き者であることは、どの程度世間に知られているのでしょうか。
関空からアムステルダムの機内で、ずっとパソコンを使って仕事をしていたら、到着間近の食事の時間に、アテンダント(日本人の女性)にずっとお仕事をされていましたね、と声をかけられました。あしたから週末なのに、明日もお仕事があるのですか、と聞かれました。そういえば、明日というのは土曜か、そうだったか、考えてみると、今回の会合は土曜の夕方から始まって、日曜はフルに朝から晩まであって、木曜のあさまで休み無く学問に浸り続けるのだったか、と認識しました。
アテンダントのかたには、仕事が詰まっているので、機内でこんどの旅行での仕事の準備を始めているんですよ、正直に返事をしましたが。
わたくしは、だいたい、欧州行きの場合は、パターンがはっきり決まっていて、機内での最初の食事の時にアルコールを飲んで、そのあとできるだけ眠るようにしています。3時間寝られれば、残った時間の大半は仕事をします。折々に体を伸ばしたり、足の指運動をしたり、トイレにいったりして、体が硬くならないようにしていますが、延々仕事を続けることが多いです。
乗り換え便の待ち時間とかも極端に眠くならなければ、仕事を続けます。これに関空での待ち時間での仕事時間を足すと、だいたい二日分くらい働いた気になります。
現地に到着してからは、今回のように深夜でなければ、寝る前にまた歩いたりして、とりあえず11時以降まではできたら12時までは、眠らずに起きていて、疲れ切ってから寝ると、わりあい長く眠れて、運がいいと、翌日からジェットラグなしで通常スケジュールをこなせる場合が多いです。
失敗はたいてい、現地時間で早く寝すぎたりした場合です。いっぺんジェットラグ時差ボケになると、回復に時間がかかります。回復法にもコツがあるのですが。
これだけ土日もなく体を張って働くのに、お国の「国威発揚」のためにも、日本の学問の水準の高さを理解してもらうように、頑張っているのですが、実態はなかなか理解されません。
物見遊山とか、今回のようにわずかな時間と早起きをして(土曜にですが)サンテミリオンあたりに行った等と書いたりすると、遊びにいったけしからんなどと、そこだけ拡大して問題にしようとか、そういう実にくだらない論調が世間に多くあります。テレビの朝ずばかのへンなおじさんが好んで話題にします。大新聞やテレビも大好きな論調ですね。
これがどれくらいネガティブに働いているか、ご存じないでしょうね。日本の若い研究者の多くは萎縮しきっています。萎縮するように萎縮するようにと、世間が最大限はたらきかけているようにも思えます。日本の家庭や学校でもこの萎縮路線が強いような気がします。
このような旅行をひとくくりで海外研修旅行などといわれたりするのも、実態からかけ離れた感があります。わたくしは、呼ばれた以上は、この分野での当然やるべき義務を果たしにこちらに来ているのだと思っています。日本も学問を学者にやらせている以上は、ある水準に到達したかれらが恥をかかない程度のサポートは必要なはずです。しかし、学者の中には、眉をひそめたくなるような人たちが一部いることもたしかです。
ところで麻生内閣、信念居士ゾロゾロ内閣のようです。辞めた中山氏以外にも、鳩山氏など信念の失言候補が沢山いるようです。鴻池氏などもなんかやってくれるといいのですが。でも総じてお坊ちゃんの信念のように感じます。世間を知らない、そういう感じがします。麻生氏も含めて、自らの力だけで本当に生きた経験のない人間の、威勢のいい意見、と感じます。
言葉がひどく悪いですが、どこかに消えてほしいやつ、というのがこの中山氏への正直な感想です。こういう政治家がのさばったら、日本の社会は本当にとんでもなくわるくなります。自分が権力をもった大臣、国民から権力を委託された強大な権限を持った大臣職についている、という感覚がゼロなのでしょう。もしかしたら、あることを分かって、そのうえでいってるのかもしれません。こういう人間を朝ずばのおじさんのようにちゃほやしたら、日本の権力機構はおそろしく悪い方向に向かうでしょう。