いやな空気

きのうは寒い夜でした。きょうも朝から寒いです。

衝撃的な殺人事件と傷害事件が、厚労省の元トップと配偶者に対して起こりました。最初が自宅にいた夫妻を殺害し、次が玄関に出てきた妻を重傷にしています。たぶん同一犯人、やり方が酷似していて宅急便を装っていたようです。マスコミは連続テロという表現でその衝撃の深さを報道しています。

理由がわからずに特定の人物、しかも国の行政官庁のトップを務めたような人たち、しかも妻を巻き添えにするという点で、従来の犯罪観ではでは対応できないし、不特定殺人に近い不気味さがあります。
年金の専門家でもあったようなので、年金不満を元にしたような印象もあたえますが、2番目の傷害事件では30代の男性ということなので、その犯人像はわかい男性ということになります。年金にからんでどのような犯罪動機があるのかまったく不明なのでしょう。
深い社会的不満をもった人物の犯行ともおもえます。やはり秋葉原での不特定連続殺傷と類似点はあるものの、攻撃が一段と特定人物化しているので、社会的な衝撃はとくに政治や行政の関係者においては深いでしょう。

ここのところいやな社会的空気を強く感じていました。大きなだれでも知っているような出来事も見方を変えたら自分のきわめて近傍のひとたちにも深甚な影響をあたえているのかもしれません。

やはりなんといっても世界の金融の大混乱です。お金をたくさん失った人たち、その周囲の人たちがたくさんいます。企業レベルでも個人レベルでもです。虎の子のお金をうしなったひとたちがたくさんいるようです。

日本の国政のどんずまり感はただならぬ深さです。三代の首相が選挙の洗礼をうけずに、しかも来年のあきまで居座るかのような言動が盛んです。代わりのはずの民主党もはっきりしません。

財界トップがマスコミに対して、「報復したい」とまでいったのはごく数日前です。マスコミの厚労省叩きがひどすぎる、という理由でした
政治のトップの首相の理由のないニヤニヤ笑いは多くの人を不快にしているようです。

それに自衛隊の現場のトップが出てきて、世間のマスコミと学識者をあいてに歴史観を開陳して、激しい攻撃をうけました。後味がたいへんに悪いです。それじゃどのような歴史観をもって戦闘機のパイロットは日夜の働きにやりがいを持てるのか、代わりの歴史観はだれもなにも提示されません。歴史観についての八方ふさがりの閉塞感は一般国民に夢とのぞみをあたえません。

生活で追い詰められ将来に夢をまったく持てない若い人たちが多くなりました。特に30代の男性にいまの日本のもろもろの問題がおしよせ、のしかかっています。40代前半まで波及しているかもしれません。

なんて平和な国でいいのだろうと、言える人たちはいるようですが、実感を持って言えるのは、衣食住にたりた高齢の世代だけが言える言葉です。その高齢者もこの経済の混乱で怖れだしているのではないでしょうか。
平和な国でいいですね、そういう発言をフリーターの30代の半ばの男性は決していえません。戦争がおきてほしい、とまで発言する若者が出てきているようです。社会の激動を期待しているのです。そうでなければ、かれらのつらい生活がかわらないのでしょう。
そういうふうに考えていくと、このような事件はまだまだこれからの日本の社会の行き着く先の単なる始まりを示しているだけなのかもしれません。

犯人がつかまったとしても何も解決しないし、このいやな空気を払拭するのは大変なことなのでしょう。

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