明日から旅行、諸悪の根源インパクトファクター

昨日ずいぶんながくブログ書いたのにきよう見て驚きました。そんな時間をかけた記憶はないのですが。

あした朝からパリ経由でイタリアのピサまで行きます。そこから、Luccaという町から山の中に入っての会議です。米国のFASEBが胴元の主催の会ですから、会の運営は米国的です。研究連絡も今回は非常に沢山あるので、イタリーの関係研究者のひとにも今朝メールを書きました。
今回は期間のながい旅行です。イタリーの後にシンガポールにも行くからです。イタリーまでは妻も一緒です。年に一度は一緒に海外に行くという約束がありますので今回が該当しています。ともあれ、旅行の前半で疲れすぎないようにしています。幸い、このイタリーでの講演の準備はかなり進みました。でもまだ2つもあります。
わたくしも毎回同じはなしを決して出来ないのは年間の講演回数がそう多くないからで、毎週のようにどこかに出かけて数回、つまり年会で100回とか200回もやれば同じ話題になってしまうでしょう。
友達のあるひとは冗談を入れる場所まで同じ講演をやっていました。よく厭きないと感心したものでした。

ひとつレビューの原稿がまだ終わっていません。編集者の注文が多くて大変です。
論文の引用はここ1,2年のものになるべく限定しなさい、という注文がきつくあるので、なぜかなといぶかしく思っていたのですが、最近それがインパクトファクターのせいだと分かりました。
つまりインパクトファクターの計算はここ2年間に発表された論文の引用回数で決まるからです。雑誌の商業価値はこの値で著しく影響されます。
わたくしはこれが諸悪の根源だと思っています。テレビの視聴率と同じような影響があるのです。
視聴率の高い番組にでている芸人がえらそうに肩で風をきるような態度を取る、と同じようなことが研究者の間にあるのです。本当におかしなはなしです。
わたくしの研究など、だいたい数年経ってから意義がでてくるような遅効性のおおいものはインパクトファクターにまったく貢献できません。
でも、20年前や30年前に公表した論文の株や抗体を頂戴などということが沢山あるのです。論文の引用だって、10年くらいたってから尻上がりに増えているものがあるのです。
こういう科学をわたくしは裏街道と言っていまして、実際に昨年のフランスの学会では講演タイトルには文字通り、裏街道を使ってもういちどあの問題に再訪問しましようという類のをやって結構好評でした。
なにしろインパクトファクターを忘れて研究者人生を送りたいものです。これが本音です。
しかし諸悪の根源にほんろうされる若者というか現役研究者がほとんどですから、これと無縁の生活はできないのです。わたくしがこれから研究生活で苦境に陥るとしたら、たぶんこの諸悪の根源のせいでしょう。まちがいありません。

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