お昼に長丁場の会も終わりました。
最後の講演のあとで、Paul Nurseさんが10分ほど締めのスピーチをしました。昔から彼を知っているものとしては、もともと上手な演説が一段と進化していて、わたくしは内容的にもまたしゃべる技術の両面で感動してしまいました。この分裂酵母という微生物がもうUrs Leupold先生以来60年の研究史をもつこと、50年前からはじめたMurdoch Mitchison先生はお元気なようでその近況を述べながら、この研究コミュニティがいかに今日にいたるまで発展してきたかを無駄な言葉ひとつなくしかもみんなが元気づけられるような内容で実に見事なものでした。彼のようなリーダーがいるおかげでこの分野はまだまだ発展的にやっていけるでしょう。ノーベル賞受賞者でもありロックフェラー大学の学長でもあり、研究面だけでなく他の色々なところで世界的な影響力を持つ、超一級の人物です。しばしば演説をしているとは思いますが、本当に秀逸な内容でした。しかし一方でかれは決してその場の思いつきでしゃべるのでなく綿密に草稿を検討しているのです。長年のつきあいで知っています。この10分ほどのスピーチも準備を十分に練っていたに違いありません。
2年後の次の会議が楽しみです。彼の言うとおり、今回の皆さんの発表のレベルは本当に高くわたくしも充実した気持を持ち続けて、この6日間を過ごすことができました。
リーダー一人で世の中がガラッと変わる。起きうることです。日本の民主党政権はどうなるのでしょうか。年内のうちにはっきりとした目に見える成果を鳩山首相はあげないと、期待先行で大きかった彼のリーダー像はだんだん色あせるかもしれません。感動を与えるようなリーダーの言葉が国民にそれほどは伝わっていません。マスコミがいろいろ書きたてている波乱要因のうちの、政治資金問題は本当は根が深そうですがいまのところはあまり問題として噴出しないでしょう。
でも小沢幹事長がしきる党運営問題が深刻化していくかもしれません。というのは小沢氏はたぶん鳩山首相の上に党運営の方針を置いているでしょうから、方針について誰がなんと言おうと意見は曲げないでしょう。そしてそれに追随する人たちは民主党内で実は多いのいでしょう。忘れていけないのは、民主党は軍団と言われた元田中派と規律好きな労働組合派が作ったものです。サロン愛好者は党内少数派でしょう。小沢ボルシェビキと鳩山メンシェビキの戦いがそのうち民主党内であるかもしれません。マスコミはもちろん鳩山メンシェビキを応援するでしょうが、民主党がもはや国家権力を握る党だということを忘れていると、痛い目にあうのかもしれません。
国家の成り立ちについての意見の違いで政党が複数あるのがいいのですが、それで政権交代ができるのは夢のまた夢なのかもしれません。国民としては政権党が無目的に暴走しないためにも力と内容のある反対党があるといいのですが、困ったことです。反対党のはずの自民党はもう駄目なのでしょう。日本世襲党とでも名前を変えたほうがいいのでしょう。世襲でない議員が集まって新しい党を作ったらいいのかもしれません。
それとも小沢氏がそのうちもう一つの党をつくるのかもしれません。この人の評価は棺のふたをおおうまで定まらないような気がします。まだまだこれから真の影響力がでるのような気がします。マスコミもたまには提灯記事を書いて関係をやわらかくしてもらいたいものです。さもないと小沢氏の真意が国民にさっぱり見えてきません。