理論生物学者の実例、強風の跡

コメントにあった質問、たしかにわたくしも実例を挙げないといけないとは思っていたのでごく手短に触れておきましょう。わたくしの考える理論生物学は生物現象におけるルール、法則を理論的に予測することだと思うのですが、もちろん密接に実験とは結びついているはずです。日本では中立論の木村博士などが代表的な存在なのでしょうか。
わたくしは20世紀最大の理論生物学者はフランシスクリックだと思います。もちろんDNA二重らせん解明時の働きもそうですが、なんといっても遺伝子コード解明時のクリックの役割は、理論的な要にいたのでした。かれはガモフのトリプレット説を強力に推し進め、その推進にはまったく迷いがなくかつ、アダプター分子を予言しました。これはtRNAの発見に結実しました。クリックがいなかったら遺伝子コードの分野はすくなくとも5年は遅れていたでしょう。彼の理論で数式を使ったのはらせんのX線による回折の場合くらいでしたが、どれも単純にしてかつ極めて明晰な論理でこうあるはずだと、たたみかけていく論理構築は素晴らしいという表現ではまったく足りないくらいです。
DNA二重らせんを解いた彼に神様が降臨してDNA遺伝暗号解明の使命を果たせたのだと、わたくしなど若い頃には神がかりで尊敬というか敬うというか、そんな気持ちでいました。数回クリックがセミナーで議論を主導する様子を見たことがありますが、生きている偉大な生物学者、という先入観は壊されませんでした。ある意味天才的な生物学者はあまり沢山いらないので、もうそろそろ次の大天才がどこかからひとり現れてこないだろうかなどと思います。
となるとワトソンの役割をはたすような実験生物学者もいる必要があるのかもしれません。

きょうは久しぶりに夕方になってから比良の家のほうに来ました。
すごい強風があったらしく色んなものが飛んだり落ちたりしていて、アヒルの素焼きがひとつこわれていました。またカラスよけの超音波機が重しの石と一緒に落ちて木っ端みじんに壊れていました。重しの石は相当に重いのでどうして落ちたのかわかりません。たぶん風の強さで台がぐらぐら揺れたのでしょう。

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