きょう帰国ししました。よく寝たせいか疲れは感じません。この一週間寒かったらしく、雪もすこし残っています。あすは早朝沖縄にでかけます。
関空で買った読売新聞に野依先生が日本にとって科学がどれくらい大切かを述べた記事が出ていました。はじめからおわりまで同感でした。ただこう格調たかくは言えません。
その中ですこし違うかなと思ったのは今の若者の海外志向が減っていることをどの程度の危機とかんじるかですが、わたくしはしかたないというあきらめ感も含めてあるがままを受けとめる気持ちが最近は強いです。たとえば米国の若者ですが海外志向は余りありません。自国で十分と思っているのでしょう。日本の若者もそんな感じなのかもしれません。
日本の学術科学の世界は国内市場であると見抜いているのでしょう。講義も会議も日本語、研究費申請も日本語ですから、外国人参入はかけ声はあっても実現は難しいし、国内競争で勝てれば充分というか、国内で勝つのに必死になっているのが今の日本の科学を志す若者の多くなのかもしれません。
いまの日本、国内では若者の囲い込みもきついです。自大学の出身者で優秀とみなされると、自大学のスタッフにしたい、こういう考えは非常に強いです。実際英国のケンブリッジやオックスフォードでもかなりそんな感じはあります。
日本人の英語ベタは宿痾の業病ですが、それでも益川さんのようにノーベル賞授賞式参加がはじめての海外旅行という嘘としかおもえない話もあるわけなので、いまのままでしかたない、と最近はよく思います。こんどウイーンで会った日本からの若者の中には実に逞しく生きている人もいましたので、昔も今もあんまり変わらない、ただかつてのアメリカ病が減った分、代わりの留学先がなかなか無いのかもしれません。知米家なんて言葉がマスコミにまだ残っているようですが、外国との関係なんてそんな言葉でくくれるようなものではないでしょう。
ネット主体の世界になってきているのですから、留学のスタイルも変わっていいのでしょう。
ただ人間の本質はどんなに世界がデジタル化されても、アナログ的に残っているので、学問の感情面などを取り上げれば、最後は人と人との交流が学問の根幹なことは間違いありません。