いま福島原発の近く数キロから遠くの百キロ先まで、原発でおきていることの影響が50年後60年後にどうあらわれるか、どこまで推論できるかが問題になるのだとおもいます。
原発の状態は現在進行だし、放射能は空気中にも地中にもまた海中にも拡がっているわけで止まっているわけではまったくないので、いま50年後を予測しても、6ヶ月後にはまったくもっと深刻な状況になっているのかもしれません。でもそういう今の時点での推論が無駄なことではないでしょう。
いまの時点で核燃料がすべて除去運搬されていく時期を予想できませんが、10年後にはできると期待したいものです。
その時にはじめて漏れ続ける放射能が止まるのかもしれません。
人体に及ぼす影響、これがいちばん分かりません。
放射能が人体にはっきり影響をおよぼすのかどうか、まず作業員の人々の健康状況、これはかなりしっかり調査できるでしょうから、20年30年の期間の影響まで分かると思われます。
もっと低濃度の放射能被爆者たちがどのような影響をうけるか感受性が高いと言われる子供たちにどのような影響がでるか、これは相当な難問にちがいありません。でも今からきちんと考えれば十分な調査ができるはずです。いわゆる疫学的な調査の徹底が望まれます。
日本が今後も原発を利用するという国民的な合意がありうるのかどうかも、このような調査結果と関係があるでしょう。
今回の福島原発の出来事は最悪に近いものだとおもうので被爆者への影響をとことん調べることに意義があるのでしょう。
毎年自動車事故で沢山のひとがなくなっていますが自動車を無くせという人はごく少数でしょう。
原発の持っている恐怖というのは自動車が生みだす死亡事故への恐怖とは次元がちがう恐怖なのでしょう。ここのところを恐怖どまりにしないで赤裸々に事実として理解する必要があるとおもいます。
ある程度は確率的事象として現れるわけですが、でも実際には偶然ではなく、必然的な出来事なのかもしれません。放射能が損傷をおこす人体におけるDNAなどの修復機構も含めて沢山のことを学ばなければいけないのでしょう。50年や60年では研究期間として足りないのかもしれません。