文部科学省の玄関で 東京の駅弁 放射能過敏症について

きょうは東京の霞ヶ関にでかけました。文部科学省でヒューマンフロンティアの関係の会議がありました。昨年も来ているはずですが、玄関の守衛さんのあかるい雰囲気が印象的でした。親切かつ対応がすばやい。入口の掲示物も一般のひとが文部省にやってきても、建物にのこのこ入ってみて展示物でもみてみようかという気持ちになります。好感がもてました。もっと入りやすい感じになるためにギャラリーなんかを1階に作ったらいいと思いました。開かれた官庁の先頭を切ってもらいたいものです。
直前の国税庁の前にはたくさん守衛の人達がいたのでコントラストです。

帰りの新幹線、昼を過ぎていたいので駅弁を東京駅で買いました。いろいろ眺めて、貝づくしというのにしました。考えてみると、わたくしは幕の内はきらいではないが、たいてい鳥めしとか貝めしとか東京ではそんな駅弁を買う傾向があります。幕の内が1200円とか1300円とか見ると、ケチではなく買う気がおきません。何も駅弁にそんなに、という気分です。貝づくしは千円でお釣りがありました。おいしいですが、野菜はほとんどなし。でもまあ一食です。
東京湾の魚介もこれからずっと安全とおもって食べられるのだろうかと、ふと思いました。東京の人達の多くは、安全というニュースや解説を頼りにする傾向があるのだろうな、とも思いました。わたくしも、東京にちいさな孫が4人もいるのですから、もちろん安全とおもいたいのですが、でも研究者である以上、放射性に対する感受性は人間で個人差が100倍も千倍も違うという事実のほうが頭をかすめます。DNA損傷修復に関わる遺伝子は100以上はあるでしょうし、色んなDNA損傷があって放射能による損傷はその一部です。修復機構は非常に複雑でして、その修復機構に生まれつきの欠損があれば平均より感受性は高まります。
そのような生まれつきのケースの一例は色素乾皮症です。
光線過敏症ともいいますが、放射線にも過敏です。一万人にひとりくらいの頻度で存在します。
毛細血管拡張性運動失調症Ataxia Telangiectasiaという病名で多様な症状をしめす患者さんのかたたちも放射線には極めて過敏です。先天性の貧血であるファンコーニ貧血も重篤な放射能過敏症を示します。一般に貧血は放射能障害の特徴的な症状ですが、どうように先天性の放射能過敏症は貧血を示すのです。
簡単な頭の体操をしてもらうと、DNA損傷修復に約200の遺伝子が関わっているとすると、だれでも一つや二つはすこし欠損があって正常ではなくても驚くにあたりません。
ですから、だれでもある種のDNA損傷に対しては修復機能が十分でなくてもむしろあたりまえです。
一つの遺伝子でも一万人にひとりくらいの頻度で重篤な症状がでうるのです。200個の遺伝子があれば、50人にひとりくらいはDNA損傷回復にハンディキャップがあるかもしれません。
それはそういういろいろなDNA損傷原因にさらされる場になってみなくては分かりません。化学薬品でもDNA損傷を引き起こす子色んなものがDNA損傷を起こすのです。
無用の心配をおこすためにこの文章をかいているのではなく、あまりにも個人をいっぱひとからげに安全安全と連呼する報道を聞くと、どうして世間のある種の無知にそうつけこむのか、と感ずることがあります。
DNA損傷についてしるべきことは、こういうことです。
個人差が著しい。千倍程度の感受性の差はありうる。
アルコール感受性などとことなって、非常に多数の遺伝子機能が多様なDNA損傷修復にひつようで、かかわる。そのうちのどれか一つが欠損すればなんらかの障害が、非常に重いものから軽いものまである。
症状の多くは貧血をともなうかもしれない。しかし、ヒトのDNA損傷修復の研究、とくに病気や寿命と結びついた研究は決して多いと言えない。また理解の度合いも低い。専門家のあいだでも諸説紛々と覚悟した方がいい。
また専門家のレベルも率直にいって高いとはいえない。いい加減なことをいっている専門家が多いことも気をつけた方がいい。しかし、極めて困難な分野なので、しかたがないとも言える。
過敏症として、症状が確立した病気以外は判断も治療も困難なのです。

自分の身体に自信がなければちょっとでもこわい場所にはいないようにする、当たり前のことです。
外国人が東京からいなくなったというのは、やはり住み続けようという[自信]がなかったのです。
しかし東京に住む人たちは自信があるのでなく、すまざるを得ないからです。でもごく少数の過敏症の人達がそのうち出てくる可能性はあります。やはり白血球の数というのがこれまでに知られた中で比較的容易でかつ障害の最初の兆候です。ただ、発がんのほうは異なります。細胞のがん化はごく少数のがん細胞の出現からも起こりうるので、障害と関連はするが異なったものになるだろうといわれています。つまり細胞の損傷とがん化は分けて考える必要があるのです。がん化は極めてすくない放射能でも起こりえます。

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