今度の新しい研究費では三つの研究目標をかかげ,5年後にはそれらが合流して一体化して理解できることを目指してます。三つのうち,一つがかなりらしくないというか,わたくしがこれまでやってきたことと異なる路線です。だからどうしても力こぶが入ります。それは、細胞がいかにして染色体分配の時期(M期といいます)に入るのか,その「進入する」スイッチを入れる大元の因子はいったい何なのか,ということなのです。ちょっとした物知りのかたなら,なんだかもうだいぶやっていて,ある程度分かっているのではないのですか,いまさら始める真意は?という質問がきそうです。でも本当の専門家なら,それは難しいテーマですね,あれだけ多くの人がチャレンジして。うまくいかなかったのに、あなたはどういう新しいアプローチを提起したのですか?、と聞くでしょう。
実際に提起したアプローチは研究計画に詳しく書いたのですが,一言でいえばM期に進入してもそれ以前の(間期といいます)性質を引きずっていて、なおかつM期の進行が異常なもの(変異株)を見つけようというものです。実際にはもうそういうものが少数見つかっていて,それらの遺伝子がどういうものか分かり出しています。その結果わたくしのもくろみは良さそうではないか,という感じなのです。つまり予想外にしてなおかついかにもそれで行けそうな感じな遺伝子(タンパク質と言っても良いのですが)が見つかり出しています。
見つかった遺伝子は一つでなく,ある程度の数のものが見つかると予想しています。つまり、間期からM期への変換を決めている因子が一つではなく,パスウエーといえるような、いくつかの因子が協力して,細胞の性質を大きく変えるのでしょう。わたくしにとってはエキサイトできる状況になりつつあります。