そこはかとなく分かってもらえる、歴史教育の困難さ

いま台北郊外の桃園飛行場にいます。
1週間弱の台湾旅行の感想ですが、まだまだ台湾庶民の生活は決して楽でない。しかし屈託なく生活しているさまをたっぷり垣間見ることができました。物価も日本より半分と1/3のあいだくらいなのでしょうか。生活が楽でないというのはいろいろ垣間見えるのですが、でもいっぽうで若者たちの表情や服装だけなら、日本となんの変わりもない、とも思えます。ひとびとは大量の貯蓄をしていると聞きますので、潜在的に非常に豊かなのでしょう。そう見せないだけです。
わたくし自身の研究発表自体は台湾ではずいぶん好意的に受けとめられたとおもいました。
かれらのなにか刺激になれば嬉しいとおもいます。おなじ東アジアの民ですから、どこかで深くわかり合える部分があるはずです。わたくしは自分の研究に対する姿勢を常にいちばん大切にしていますから、そこのところがそこはかとなくでもいいですから、伝わればとおもって発表しました。

お隣の国の問題は日本にはない問題ですが、でもよく理解できます。つまり歴史教育の困難さです。
台湾人として教育するよりはどうしても中国人として育てたいと願う人の方が多かったのではないでしょうか。なにしろ国の名前が中華民国です。
しかし、時代がここまでくれば、また中国がここまで強大となれば、台湾人として生きていく方がより自然にちがいない。歴史教育のありかたもかなりの変化があるようなことをちらっと聞きました。
当然そうだとおもうし、そうあるべきです。
日本のほうは台湾ほど難しくないにしてもでもやはり国の歴史を教える根幹の考えを国民総意のものにするのは決して容易ではありません。
わたくしは日本人が世界の民として生きていくという、考えをもてるような歴史教育が必要だと思います。ですから、日本史教育ももちろん大切ですが、世界の歴史を人類の歴史ととらえてどこが進んでいるとかどこが遅れているというような発想にならない、世界を等しくみられるような日本人が輩出する歴史教育をしてほしいと願うまでです。

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