中西進さんのかかれるものについての感想

あまり話題にしたことありませんが、日本古典文学の権威、中西進さんの書かれたものいつもおもしろく読んでいます。
このかたは知識が該博ばかりでなく、バランスがとれており、知識にありがちなどちらか一方に片寄ったかきかたでなく、頭の中に安心して入れられます。そしてこのかたに独得な見識が豊かなので、何を書かれてもひとつの道しるべになるようなものになっています。小さそうな問題を扱って実は大きな問題をはらんでいる、日本文化の粋をたくみに書ける当代随一のかたではないでしょうか。
巧まざるユーモアもあって、学者にありがちな格調ばかりを重視するのでなく、やわらかな筆致の裏にがっちりした堅さがひそんでいると見ました。
たぶん、根本的な「過激思想」も持ちうる方なのでしょうか。
そういう意味では、そういうものもいちど読んでみたい。案外専門書ではそういうものもあるのかもしれません。たぶんわたくしが見るのが氏の書かれる一般向けのものばかりなので。
このかたがすごいひとであることは、いろいろな経歴をみれば歴然ですが、肩のこらないエッセーだけを読む側としては、おりおりにちらっと見せる「すごみ」というか「すごい味」をすこし感じつつも、なかなかそれを詳しく味わおうと思うだけの教養の下地もなければ過ごす時間もないというのが正直なところでしょうか。

東京からきている孫三人たちが近くのビーチにしばしでかけて、信じられないほどの静寂のなかで、いろいろすんでない雑用と他の研究上のことを交互にやっています。

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