スペイン、中国、専制のあとに何が

わたくしかつて1960年代のおわりにスペインを旅行しました。
まだ独裁者フランコ総統が支配していました。バルセロナからマドリッドに旅行しましたが、どの町もすごい数の警察官というか秘密警察や軍警察の異なった制服のひとびとが町中を闊歩していました。庶民は肩をすぼめているというのが正直な印象でした。つらいな、抑圧されているなというのが第一印象でした。そのうちスペインの持ついろいろな魅力もあり、気にならなくなりましたが、でもおりおりに流通する硬貨にある総統の肖像の目の部分が強く傷つけられているのが印象に強く残りました。強いこの体制は1975年まで続きましたが、王政に戻った後、国王の英断で立憲民主体制になったことは記憶に新しいです。つまりスペインの奇跡は上から起こったのでした。

中国に初めて旅行したのはもう20年くらい前でしたが、共産党国家なのでなんらかの抑圧国家だろうと思い込んでいったのですが、警察の存在はあまりはっきりしませんでした。北京は一歩町の大通りから中へ入れば貧しさは目立ちましたが、でも安全であり行動の不自由は感じませんでした。党先制国家という印象も持ちませんでした。天安門広場も自由に歩けました。スペインの抑圧的な独裁国家とは似ている面はほとんど感じませんでした。

現在の中国、たぶん中国人でないと、中国のなにが自由で何が不自由なのかほとんどわからないのだと思います。たとえば一人っ子政策、予備知識がなければ気がつかないかもしれません。
地方の人が都会で住めない、つまり居住地の自由がない、これも気がつかないでしょう。さらには車の番号によってしないに乗り込めるかどうか、曜日によって異なるなど、基本的なことからごく日常のことまで規制は綿密にはられています。
わたくしも自分のにかぎらず誰ものブログは中国では読めないことに気がつきました。これも普通は気がつかないでしょう。

いまの中国政府の作り上げた綿密な体制、わたくしには破綻しはじめたと見えます。すくなくとも日本に対する秩序だった対応を、自分で壊してしまった様に見えます。なにが起きてもすべて日本のせい、という中国スポークスマンの発表がわたくにはなんだか悲鳴に聞こえるのです。
いっぽうで、一歩あやまれば、中国朝野は武力攻撃も辞さないまでに、思いつめているようにみえます。
緻密な体制が破裂状態に近づいているかのようにも見えます。これから、なにも起きないかもしれません。もしかしたら大変化が起きるかもしれません。
10月半ばにあるはずの、首脳陣の大変化をもたらす党大会のスケジュールがいまだに発表されないのだそうです。
スペインと同じく、中国の政治的な大変動も上からの判断で起こるのかもしれません。
さて、次期指導者はいかなるものをもたらすのでしょうか。中国人民と、われわれ周辺国の国民に。
たいへん気になります。

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